バンブーロッドの作製で一番ノウハウを含んだ工程は火入れ工程だと思います。
竹の種類によって温度、時間が変わりますし、火入れ温度が何度で何分と言っても素材が違えば最適条件は変わってくるので、各自が積み上げたノウハウの塊となる工程になってしまいます。
一般的に言われている標準的な条件と言うのはもちろんありますが、指定温度がどこの温度であるかと言うとブランク自体の温度であり、周辺雰囲気温度をモニターしていたのでは実際のブランクの温度は判りません。
ダミーブランクを作製し内部に熱電対を設置して温度をモニターして周辺雰囲気との差分を確認する等の補正作業が必須です。
また、オーブンも人それぞれで、ブランクの下部でバーナーで加熱する方法、最近ではヒートガンで熱風循環させる方式を採用されている人も多いようです。
私のオーブンはもう20年も前に作製したものですが、アルミパイプにリボンヒーターを巻き付けたものです。
なぜ、この方式にしたかと言いますと、熱伝導の良いアルミの外側から加熱することでパイプ内を均一加熱させることができると考えたからです。
また、火入れ時に騒音の発生しないオーブンにしたかったのも理由の一つです。
リボンヒーターを巻き付けたアルミパイプに更にアルミ箔を巻き付けた後、断熱材であるグラスウールでグルグル巻きにします。
断熱材を巻き付けることでオーブンの外側に熱が逃げにくく、室内で火入れしても安全に作業できるようにしております。
夜間に火入れすることも想定し、安全、静音に配慮いたしました。
断熱材ごとステンレス製の煙突にいれて、端面はグラスウールが出てこないように蓋をつけて完成。
アルミパイプはロッドケースを利用しています。パイプ内部にはステンレスの網を敷いて、ブランクがアルミパイプの側面に接触しないように配慮しております。
リボンヒーターの電源を入れて10分ほどで170℃付近まで温度上昇します。
キャップを外してブランクを投入しキャップして温度をモニターしながら手動で電源をON/OFFして温度制御しています。
断熱材を密に巻き込んでいるため、電源OFF時の温度低下はなだらかであり、手動でも1分間に10s程度電源を投入してあげれば一定温度を維持しています。
温度はキャップ付近が一番温度変化しやすいため、リボンヒーターの巻きを少し密にして内部温度の均一化を図っております。
途中でのブランクの入れ替えもスムーズで、煙突外側はほんのりと温かくなる程度で、室内で夜間に火入れをすることが可能となりました。
ブランクも一部が変色したりすることもなく、全体にわたり均一に火入れできていると思います。
難点としては、4ftのロッドチューブなので2Pcであれば8fまでしかチューブに入らないことです。
まあ、その場合は3Pcにすればいいんですけど.......。