リールカバーの材料による違いは前回のブログで紹介しましたので、今回は材料+デザインによる雰囲気の違いを紹介したいと思います。
今回は真鍮(Brass)でカバーを加工してみました。
真鍮の比重は8.4で以前試作したアルミの比重は2.79なので約3倍の比重になります。
ちなみに前回試作したアルミのカバーの重量は26.7gでした。
同じ形状を真鍮で加工した場合75g程度になり、非常に重くなってしまうので、真鍮を使用する場合は肉抜きをしないといけません。
バーミンガム形状にするとどうしても表面積が増えてしまうので、レイズドピラー形状を生かしながらの形状で設計することにしました。
ただし、カバー同士をマグネット吸着する部分にはマグネットを埋め込む必要があることからマグネット部分にも膨らみを持たせた形状にしなければいけないので、設計してみるとなんだかバランスが悪い。
結局全体的に膨らみ部分が均一になるように配置させて、クラウン形状と言うか、フラワー形状と呼ぶようなデザインにしてみました。
加工方法としては、まず旋盤でΦ75mmの真鍮板の厚みを3.5mmに調整します。
後はフライス盤で外側の輪郭形状、内側の輪郭形状、ピラー部分の座グリ加工等々を行っていきます。
今回テスト加工中にワークが外れて1個加工を失敗してしまったので、専用の加工治具を作りました。
これで加工中のワークが外れたりする恐怖から解放されました。
私が使用しているNCフライス盤は卓上機でパワーもないためカバー1個を加工するのに約2.5hの時間がかかります。
両方のカバーを加工して、ピラーを加工すると6時間程度に時間がかかり、上述の旋盤加工時間を合わせるとほぼ1日仕事になってしまいます。
仕上げの方は現状では軽くサンドペーパーでツールマークを除去している程度です。
鏡面仕上げにしてしまうと、カバーに気を使ってしまうとのご意見を頂戴したため、敢えて仕上げ研磨を行わないようにしております。
写真ではピラーなしの状態になっております。
このリールは真鍮フレームにアルミポリッシュのフェイスプレートを装着したBi-Meralモデルです。
従来のリールの雰囲気を乱すことなく、カバーの装着が出来ているような気がしております。
この真鍮製カバーに重量は約30gなので、アルミのフルカバーと4g程度しか変わらないため、重量を気にすることなく使用することができると思います。
また、オーソドックスなジュラルミンフレーム+エボナイトフェイスプレートのリールに装着した場合、シルバーからゴールドへのカラーチェンジになるため結構雰囲気が変わります。
真鍮材料の場合は比重の関係であまり大きなデザインチェンジができないのですが、単にリールを傷から守るだけのリールカバーとしての用途だけではなく、装着することにより気分も変わるドレスアップパーツとしての付加価値もプラスされ、使用するロッド等によって着替えてみるのも楽しいようなアフターパーツにできればと考えています。
このような斬新なアイデアを具現化できるのも1人でデザインし、加工しているからこそだと思います。
次のデザインはどうするか?
もう、頭の中ではデザインは完了しています。