前回掲載したヘアースタッカーの加工時に閃いていた新たなアイデアを実際に具現化してみました。
写真が、そのアイデアを盛り込んだスタッカーなのですが、お判りでしょうか?
そうです。ヘアーを入れるパイプ部分が2重構造になっているのです。
太い側のパイプ内径がΦ10mm
細いほうのパイプ内径がΦ8mmになっています。
大量のヘアーを使うフライをタイイングする場合は太いほうのパイプを使用し、比較的小さなフライをタイイングする場合は2重構造の状態で使用することでΦ8mmのパイプとして使用することが可能になるのです。
フライタイイングツールはまだまだ色々と進化して、色んな便利なツールが開発されていますが、スタッカーに関しては、長い間進化が止まったような気がしていました。
今回作製したこのスタッカーは今まで自分としては見たことが無かった構造なので中々の進化ではないかと自負しています。
パイプ構造以外では、ボディ部分にカバーを付けたところが特徴です。
黒いカバーはエボナイトで加工して、磨き込んだものです。
ウッドカバーは花梨の瘤材で加工いたしました。
これらのカバーはわずかにラウンドさせ柔らかな雰囲気を出しています。
スタッカーの材料としては、真鍮製がスタンダードで、最近ではステンレス製もあるようです。
今回作製したスタッカーはニッケルシルバー製です。
ご存知のようにバンブーロッドのフェルールやリールシート金具等は装飾の意味も兼ねてニッケルシルバーが多用されており、このニッケルシルバーは真鍮と同等の比重で、スタッカーとしての材料には申し分なく、研磨後の輝きも魅力的なのです。
しかしながらニッケルシルバー製のスタッカーがあまり世の中に出回っていない理由は、やはり材料価格によるものと推測致します。
個人で作製する私のような個人事業主の場合、コストを意識するのはもちろんなのですが、自分が欲しいと思わないようなスタッカーを作っても面白くないのです。
今回自分で欲しいと思ったスタッカーを作製することができ、自己満足しています。
明日からのつるやさんのハンドクラフト展に持参致しますので、手に取ってご覧頂ければと思っております。
大量生産できない小さな工房なので、大量生産できない小さな工房だからこそできることもあると考えています。
沢山は作れませんが1個ずつ丁寧に作り込んだ逸品で優雅にタイイングを楽しんでいただければ本望です。
皆さんから、こんなツールがあったらとか、こんなグッズがあったらとか、ここが不便なので改善出来たらとかのアイデアなり、意見がありましたら具現化のお手伝いができると思いますので、何なりとご相談ください。
それではハンドクラフト展でお会いいたしましょう。