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Newリールの加工

Newリールが間に合いませんでしたと2月のハンドクラフト展に展示できなかった状態からもう2か月

 

スタッカーや他の加工が忙しくてなかなか手が出せませんでしたが、やっと加工を開始いたしました。

試作でほとんどのパーツは加工していたのですが、当初はドラグ調整ノブが裏面のフェイスプレートの一部に鎮座する構成となっていたためフェイスプレートの一部をノブが収まる形状に加工しており、デザイン変更後のリールへの転用が出来ません。

 

ドラグ調整用のノブがあることがデザイン的に嫌だったのです。

これは余計なネジ類がフェイスプレートに露出するのが嫌で、ネジが露出しない構造を考え挙げたのと同じ感覚で、

あると嫌なものは無くしてしまいたいのです。

 

と言うことでフェイスプレートの作り直しが必要です。

私が作製するリールのフェイスプレートはエボナイトが主流で、インゴットの状態で購入し、切断して使用しておりましたが、その切断はのこぎりによる手加工だったのです。

 

幸いにして、木材加工用のバンドソーがあったのですが、このバンドソーは木材さえまっすぐに切断できない状態だったので、一度フルメンテして、刃のガイド部分の微調整を時間をかけて丁寧にやったところ木材はまっすくに加工できることが判りました。

 

試しにエボナイトのインゴットを切断してみると思ったよりも負荷なく切断できることが判りました。

厚さ約5mmに10枚ほど切断し、端面出し、厚さ調整を行い、C穴加工を行いました。

インゴットは外径の真円度が悪いので、C穴基準で外形加工を行います。

 

エボナイトは生ゴムに硫黄を混ぜて加熱して製造しており、これを切削加工するときに粉塵が出るのですが、切削加工時に当然ながら生ゴムと硫黄をミックスした匂いがするのです。

 

皆さん輪ゴムが燃えた時のにおいを嗅いだことがありますか?

人間にとって受け付けない匂いがすると思うのですが、まさにエボナイトも嫌なにおいがするんです。

 

また、この粉塵は加工機械の細かな部分に入り込んで、精度を乱す原因にもなるので、極力安い旋盤で加工するようにしています。

エボナイト表面の凹み部分はCNCでの加工が必要なのでCNC旋盤で加工を行いますがそれ以外は手加工を行っています。

 

加工後のエボナイト表面はザラザラと言う表現がピッタリなほど表面が荒れています。

この表面を研磨して鏡面にしていく作業が大変なのです。

 

まず耐水の研磨シートで#240 #320 #400 #600 #800 #1000 #1500と順をおって研磨していきます。

その後白棒、青棒を経て更に#8000 #15000 #30000まで研磨を行います。

 

各番手で5分研磨したとしても1枚の研磨が終わるのに60分かかるのです。

リールの表面と裏面の2枚の研磨を行うと研磨だけで2時間

 

多くのリールのフェイスプレートにエボナイトを使っていない理由はここにあるのです。

研磨が大変で、また、傷つきやすい材料であるエボナイト

でも綺麗に磨かれたエボナイトは漆黒の黒さであり、職人の手によって丹念に磨き込まれた風合いを持つのです。

 

時間は掛かりますが、時間を掛けてでも加工したくなるのがエボナイトの魅力だと思います。

 

 

 

加工前の状態と加工後の状態です。

同じ材料には見えないですね。

フェイスプレートは完成したので、組み立て調整に入りたいと思います。

 

私の作るリールは高い!

それには理由があるのです。

 

機械加工で簡単に作れるリールがお望みなら、大量生産される大手メーカーのリールを使えばいいのです。

 

それではご満足いただけにフライマンの方々の目に留まれば幸いなのです。