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リールの試作

昨年の11月ぐらいだったと思うのですが、1本の電話がありました。

お相手は某有名ロッドビルダーさんからでした。

「知り合いがリールの改造して欲しいと言ってるんですが、お願いできますか?」と言う内容でした。

数週間後、とあるイベント会場でお会いして実際にリールを前にして改造個所の説明を受けました。

 

いくら時間が掛かってもいいからの一言で引き受けたんですが、なかなか厳しい要求でした。

要約すると、大きめのリールを使用しており、クリックドラグ付きなのですが、大物とのやり取りでドラグが役に立たないので、

もう少し強烈なドラグをリールに付けてほしいとの要望でした。

 

少し前のブログにも書いたのですが、当時私は自分用の高番手リールにドラグシステムを搭載すべく、試行錯誤を繰り返している最中でしたので、このドラグシステムが完成したらこのリールに移植すれば実現できると思ったのでリールを預かったのです。

 

まず、預かったリールの各パーツを分解しながら、どのパーツを作り直せばいいのかを考えました。

自分用ドラグシステムと並行しながら作り直しパーツの洗い出しを行いました。

 

リールフレームは流用するとして、スプールは作り直しです。

センターシャフトも、

 

スプールの作り直しのため、各部の採寸をおこない、新しく図面を起こしました。

ちなみにスプール径は91mmです。

当然そんな材料があるわけもなく、材料手配を行いました。

リール自体はかなり昔のリールで、各パーツがリベット止めされており、板金を駆使した構造になっているものが多く、

材料も肉厚も固定方法も異なる構造に変更しなくてはいけません。

 

私の使用している旋盤のチャック径は約100mm程度なので購入した材料 φ95mm×10mmtをぶん回すと少し恐怖を感じます。

このサイズの加工をやっておけば、のちに加工するであろうWハンド用リール加工にも役立つだろうとか考えながら旋盤を回しておりました。

リベット止めできないのでネジ止めして、スプールは何とか加工できましたが、既に5カ月の月日が流れていたのでした。

 

最近になってドラグシステムが完成したので、これを機に一気に進めていこうと考えました。

スプールが順方向に回転するときはワンウェイクラッチがロックせずにベアリングとして作用し、逆回転時はワンウェイクラッチがロックしてメインシャフトが回転する構造にして、このメインシャフトの回転を規制する構造にしたのです。

 

文章にして説明してもほとんどわからないと思いますが、この構造は今は秘密にしておきます。

この構造がスプールのギアと干渉するので、ギア位置を変更したり、ドラグ調整ノブがハンドルと干渉するためにハンドルの軸を延長したりと、一つ完成すれば次の問題にぶち当たり....。これの繰り返し

最近になってやっと先が見えてきました。

リール本体の画像やドラグシステムはまだ公開できませんが今までにやったことのない大きさの加工や問題解決のためのアイデアだし等々とても勉強になりました。

 

いつも製作している両軸リールの径は55mmぐらいなので、倍近くのサイズ感があります。

 

リール関連でお困りの頃があれば何なりとご相談ください。

出来ないこともたくさんありますが、解決の糸口ぐらいはご提案させていただきますので!

 

それから、フルーガーのメダリストのリールフットはおかげさまで第1弾の加工分は完売いたしました。

第2弾の加工とラインガードの試作も行いたいと考えている5月の終わりです。