· 

リールフットピラー

リールフットピラーとは、リールフットとリールフレームとをつなぐ柱のことで、2本の円筒状の金属で加工されています。

色んなメーカーのリールフットを見てみると、リールフットとピラー部分が一体構造になったモノやリールフットに穴が開いたものなど色んな種類、形状が存在しています。波型のリブフットもそうですね!

 

リールフットのサイズも各社各様であり、このリールフットはジャストフィットするのにこのリールだときついとか、緩いとか様々です。

 

私の作製するリールフットは長さが62.3mm程度、幅が13.5mm前後で裏面のRが9mm程度です。

これは標準的なリールフットサイズであろうと考えています。

 

さて、リールフットピラーの話に戻ります。

ちょっと前にも書きましたが、このリールフットピラーを構造上弱くすることで衝突安全リールとして機能し、ピラー部分が変形することで衝撃吸収する構造にあえてしているのです。

ですから他メーカーの強靭なリールフットに比べると華奢に見えるのです。

すべては他のパーツを守るため!

 

このリールフットは最大外径4.5mmで細い部分が3mm径になっています。その中心部分にm2.0の貫通ネジ穴を加工しています。もちろん両端にはリールのフレームに固定するためのm2.5のメネジ加工もしています。

ピラーの加工方法としては、まずφ5mmの材料(ニッケルシルバーやジュラルミン)を20.5mmに切断し、両端部を端面加工して20.3mmにします。

次に両端にC穴加工して2.1mmのドリル加工して、M2.5のタップ加工をします。

このネジ穴を治具にセットしてNC旋盤のプログラム加工で外径4.5mmと3.0mmのくびれ加工を行います。

 

次にフライス盤に取り付け、中心部分にm2.0のメネジ加工を行います。

メネジの加工後は卓上の汎用旋盤に治具を用いて取り付けて研磨加工を行います。

#1000まで研磨加工後、白棒、青棒、更に細かな砥粒で研磨を行い完成です。

 

今回10セット分20本にピラー加工を行いましたが、案外時間が掛かるのです。

加工に携わっている人ならわかると思うのですが、このリールフットデザインは加工基準がどこなのか判りにくいと思います。

リールフットに加工するための治具にセットするための穴加工等が施されていれば、その穴基準で加工するんだな!と判るのですが、穴がなく、基準となる部分がどこか判らないリールフットは、パッと見ただけではどのように加工するのか想像がつかない場合があります。

以前にリンゴ割りで加工するとブログに記載していますが、リンゴ割をするためにどこを基準にフライス盤に固定するのかが判りにくいと思うのです。

説明されれば簡単なこと、いわゆるコロンブスの卵のようなことなのですが、言いません。

私もさんざん悩んでやっとたどり着いた加工方法なので!

 

リールフットとピラーはM2.0の皿ネジで固定を行います。

この構成ではリールフットの基本形状は変えることなく、ピラーの長さや配置位置を変えることでどんなリールフットにも対応できるのです。

そして、このリールフットを付けたリールが衝撃吸収リールとなるのです。

 

シンプルで無駄のないデザインになるように設計したリールフットです。

 

梅雨シーズンの雨音を聞きながら地味な作業を行うのは好きなんですが、

大抵は機械の音にかき消されて雨音は聞こえず、今日も指を真っ黒にしながら研磨作業は続きます。

 

フルーガーのリールフットはお陰様で好評のようです。

決してたくさん加工できるような設備は持ち合わせておりません。一つづつコツコツと作るしかできないので、すぐに欲しいと言われてもお待たせすることになると思いますが、

時間をかけて丁寧に加工しております。