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マグネットリリーサー

今更ながらマグネットリリーサーを作ろうと考えています。

今までは小さなマグネットリリーサーは作っていました。

マグネット径としてはφ3~φ5程度のもので、眼鏡チェーンなどに使用していました。

 

最近SNSで結構マグネットリリーサーを作りました的な投稿が多かったために触発されたようです。

私の作製するマグネットリリーサーの特徴は、マグネットを埋設するボディを金属で加工して、その金属をWoodでカバーする構成にしています。

 

Woodに直接マグネットを接着するやり方は長時間使用するとマグネットが外れることがあるようです。

推測するにマグネットの熱膨張率よりもWoodの熱膨張率は1桁以上大きいため、長期間使用した場合様々な温度変化に晒されます。それにより膨張、収縮を繰り返し、接着剤が剥離する。又はWood材にクラックが発生するものと考えています。

また、剥離まではいかない状態であったとしても、伸縮により接着剤にはストレスが加わった状態となっているため、ランディングネットを引っ張ってマグネットリリーサーから引き離す動作の瞬間にストレスの限界値を超え、マグネットが剥離することもあるかもしれません。

 

兎に角、ストレスはどの世界においてもよろしくはないのです。

 

このようなトラブルを回避するため、マグネットをメタルケースで囲ってしまい、熱膨張率が大きく異ならない状態にすることが望ましいと考えています。

もう一つは、接着剤です。温度変化により伸縮を吸収させるためには硬化後にカチカチに固まってしまうエポキシ系接着剤等は望ましくありません、温度変化による伸縮を自らの変形で耐え忍んでくれる接着剤が望ましいのです。

それは、弾性接着剤と呼ばれるもので、硬化後もゴムのような弾性を維持している接着剤です。

 

具体的な商品としてはセメダインのスーパーXのような接着剤が望ましいと思います。

 

マグネットは手持ちの中でφ10mmのマグネットがあったので、これを使用して試作してみることにしました。

メタル材料は真鍮を選択しました。

加工しやすい材料ですし、Woodとの色合いもいい感じなので真鍮にしました。

 

設計して、NCプログラムに変換して加工します。

φ15mmの真鍮棒から加工を行っています。

これが設計段階での完成予想図です。

写真ではありません 3D設計で色付けした状態の絵です。

真鍮製のボディ材にWoodのカバーを付けて、上面には更に真鍮製のキャップでWoodをサンドイッチしたような構成です。

デザイン的には穴を開けたボディーのシャフト径をもう少し太くしたほうが良かったかもしれません。

 

後、Wood部分は直線でデザインすると単調な感じになるので、ほんの少し膨らみを持たせ、手作り感を演出させています。

こちらは実際に加工を行ったものです。

Wood材は大好きな花梨の瘤材で加工しております。

塗装の途中で写真のために組み立てた状態にして写真撮影しておりますが、塗装はあと数回繰り返すため、完成は数日後となります。

 

自分でデザインしたものが形となっていくのは、何とも気持ちのいいもので、それがどんなに簡単なものであっても、気分が上がります。

 

簡単な構造のマグネットリリーサーですが、使用環境は結構ハードな環境での使用が予想されます。

デザインの秀悦さももちろん大切ですが、基本的なところ、安心安全があってこそのデザインです。

 

大切なランディングネットであるからこそ、マグネットリリーサーもその構造を良く観察したほうがいいですね!

 

さて、試作品のマグネットリリーサーはフィールドテストを行っていただける方のもとへと旅立ちます。

こういうテストもSNSを通じてつながりのある方が行っていただけるので、助かります。