ハーディーリールのハンドルノブ交換の依頼がございました。
ハンドルノブを鹿角とエボナイトの両方で作製した欲しいとの依頼でした。
で、今ついているハンドルが傾いているけど治るでしょうか?とのことだったので、リール本体を送付していただき、確認しました。
写真のように確かに傾いています。
でもこのリールは新品です。輸送中でハンドルノブに力が加わって傾いたのであろうと推測します。
ハンドルの傾きは結構気になるもので、回していても違和感があります。
と言うことで、とりあえずハンドルノブを取り外して確認します。
依頼者には、ノーマルハンドルノブを取り外す際に、ノーマルのノブは破損する可能性があると伝えて、了解を得ておりましたが、なんとかノーマルハンドルノブを破損させずに分解できる方法を模索しました。
通常ならネジの表面にダイヤモンドブレードで溝を加工して、マイナスドライバーでねじを外します。
この際にハンドルノブも一緒に溝が切られてしまい、ノブの再生不可能になってしまうのですが、今回は別な方法でノーマルのネジを取り外します。
ハンドルのネジの反対面にポンチを打って、Φ2.1mmのドリルで深さ3mm程度のドリル加工をしました。
次にこのドリル穴にM2.5のタップ加工を行ないます。
このタップ穴のM2.5のネジをねじ込んで強引に回すとノーマルネジが外れます。
この外し方だとノーマルのノブをキズ付けることなく取り外すことが可能です。
何度も何度も書いていますが、私の作製するハンドルノブはメタルコアと言う、金属製のノブのようなものにハンドル材料を被せたような構成にしています。
理由は以下の通りです。
・色んな材料でノブを加工しますが材料自体が温度や湿度により伸縮するので、回転がスムーズでなくなったりする場合があります。
・ハンドルノブが不慮の事故で破損した場合にも釣りを続行できること。
この2点の課題を解決するためにメタルコアを内蔵して、熱膨張を合わせ込み、伸縮に対応いたしました。また、このメタルコアを介在させることでノブが破損した場合においてもメタルコアを持ってハンドルを回すことが可能で、釣りを中断することなく続行できます。
と言うことで構成的にはメタルコアを介することでコストアップしますが、トラブル回避のためにこのような構成としております。
今回作製したノブは中央と右です。
中央はメタルコアにエボナイトの構成となっています。
右はメタルコアに鹿角に構成になっています。
左はノーマルノブの対応させたマイナスネジ加工したものです。
今回は新品のリールであったので、ノーマルのノブも生かしてあげたいと思い、特に注文があったわけではありませんが、ノーマルノブも生かせるようにマイナスネジを加工しました。
ハーディーリールのノブ用ネジはユニファイネジで1/8インチのネジになっています。
径は3.18mm程度です。
ノーマルのノブ用ネジにはスリワリ加工(マイナスネジの溝加工)がされていません。
ノブの部分をグリスアップしたり、分解清掃したいという要望もあるようなので、個人で簡単に取り外し出来る構造にしたほうがいいと思うのですが.....。
メーカー側はどのような意向でこの構成にしたのか判かりませんが、個人的にはメンテしやすい構造のほうがいいと思います。
依頼加工品なのでリール全体の写真は控えておりますが、無事に加工も終わり、懸念していたノブの曲がりも大丈夫です。
気分に合わせて色んなノブでお楽しみください。