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ヒンジの応用

少し前に作製したフライボックスに採用したP型ヒンジと、一般的に使用されているキャビネットヒンジとの比較を行いました。

その中で、キャビネとヒンジは、Φ8.1mm×9mm深さの接着部が必要となるため、深さのない薄い形状には採用しにくいと言いました。

P型ヒンジは薄い形状にしたい場合はP型に限定されることなく、D型にするなどすればどんな形状にも採用することができるので、これらの実用例を示したいと思います。

 

なお、P型ヒンジのフライボックスはブログやSNSで紹介した直後に売れてしまい、オーダーを抱えている状態なのですが、材料確保がままならない状態なので、今ある材料の中で細々と加工している状態です。

 

 

キャビネットヒンジを使用したフロータントケース

 

以前、SNSで盛んに紹介されていたフッ素グリースを収納するケースです。

このフッ素グリースはプラスチック円筒状の容器で蓋を回転させて中のグリースを塗ると言ったものです。

この時に、蓋を落としてしまうことが予想され、速い流れに落とした場合などは紛失必死です。

なので、蓋を紛失しないフッ素グリース収納ケースを作りたいと思ったのです。

 

キャビネットヒンジを採用し、固定にはマグネットを採用しています。

円状の溝部分にはOリングを嵌め込んで、グリースの漏れ防止を考えています。

 

フロータント収納部分はφ20mm、深さ3mm程度なのですが、上述のキャビネとヒンジは、Φ8.1mm×9mm深さの接着部が必要となるため、上部も下部も厚さ10mm程度が必要となっています。

この構成だと蓋を紛失することもないと考えました。

 

試作品なので、もう少し使い勝手を考えた形状にする必要があるかと思います。

 

改良点

・ 蓋を開ける時に指のひっかかりを設けたほうが良く、片手だけで開閉できるようにしたほうが良い

・ フロータントケース自体を落下、紛失しないための工夫が必要

 

と言った感じで、次回加工時には上記改善点を踏まえた新形状での作製を考えております。

 

P型ヒンジの採用例はこれです。

外形は六角形で、下側には貫通穴が開いており、上側は丸形状で少し彫り込まれた形状になっています。

 

手持ちの板材で加工してみたのですが、この手持ちの板と言うのが、ボール盤での穴加工時の敷板として使用していたもので、所々

にドリルの形跡があります(汗)

貫通穴はφ48mm程度に加工しております。

 

この上蓋と下蓋とをP型ヒンジを介して接合しており、開閉可能にしております。

下蓋も上蓋も厚さ15mmm程度ありますので、P型ヒンジで問題ありません。

別にこの場合はキャビネットヒンジでも構わないのですが、キャビネットヒンジの接着に必要な体積が無駄に思えてP型ヒンジを採用しました。

 

さて、これはいったい何に使用するのでしょう?

塩ビパイプを利用したロッドケースの蓋部分に採用いたしました。

ロッドケースは通常アルミパイプに真鍮で加工したネジ部分を接着したものが主流です。

 

これって高価なんですよね!

塩ビパイプなら安価に購入できるのですが、蓋部分まで塩ビのものにしてしまうと安っぽくなるので、この部分を何とかしたいと以前から考えており、

P型ヒンジを採用することによってロッドケースを作製できると思いついたのです。

 

塩ビパイプ部分にはカッティングシートを張り付ければ安っぽさは消え、安価でそれなりのロッドケースが誕生するのです。

メリットとしては、蓋形状が六角形なので、移動時の車の中でコロコロと転がることもなく、アルミのロッドケースよりも軽量です。

また、外径48mmも塩ビパイプにはロッド2セット分程度が収まるので釣行時にこのロッドケースだけで持っていけばよいことになります。

マンション住まいの方や、公共交通機関での移動時には重宝すると思います。

 

初めはフライボックスのキャビネットヒンジ以外の構造を考えていて、たどり着いたP型ヒンジをアレンジしていくことで、色んなものに応用できることが判りました。

 

これ以外にも、Wood製リールケースやフライパッチなど色んなものに展開していこうと考えております。

一つのアイデアを一つで終わらせるのではなく、色んな目線で考えることが大事なんだと今回の試作でも感じたのでした。