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Glass Rodのコーティング

前回、ラッピングまで終了したGlass Rodのその後をお伝えいたします。

 

やはりラッピング終了後の翌日は両肩がバキバキに凝っていました。

老眼鏡+拡大鏡により見やすい状態でラッピングは出来るのですが、目を凝らして細かな作業のせいか肩こりが凄い状態になるのです。

それでも、ラッピングが完了したという達成感の方が大きく、この肩こりは、一仕事を終えた証でもあります。

 

さて、ラッピングが終了したら、次の作業としては、エポキシ塗布です。

その前にラッピング部分にスレッドのケバ(繊維の切れ端)やほこりが付着しているので、これを焼きます。

 

文章にすると大げさですが、アルコールランプに火をつけて、ラッピング部分を回転させながら一瞬だけアルコールランプの炎に晒すだけです。

長い時間晒すと、ラッピング部分が黒く変色したり、焦げたりするので注意が必要です。

また、フックキーパー付近を炎に晒す場合は、コルクの焦げに注意です。案外簡単に焦げてしまいますので、マスキングテープ等で保護することをお勧めいたします。

 

今回のGlass Rodのブランクカラーはブラウンなので、エポキシの塗布によってシルクスレッドが透けると下地のブランクカラーの影響を大きく受けてしまいます。

 

スレッドが透けないようにカラープリザーバーを使用しても良いのですが、カラープリザーバーはエポキシがシルクスレッドに染み込むことを防止して色が透けることを防いでいるために、ラッピング強度が劣ると思っていて、あまり使用したくはないと思っているのです。

 

ただし、ジャスパースレッドは色止めをしないとせっかくのジャスパーカラーが目立たないので、ジャスパーの場合は色止めをしています。

エポキシコーティングはスレッドの上に筆を置くと勝手にエポキシを吸い込んでくれるので、筆でエポキシを塗るというよりは、スレッドに筆を乗せるといったイメージです。

 

エポキシをコーティングする際はブランクをロッドモーターにブランクをセットしていますが、モーターは回さずにエポキシを乗せ、すべてのエポキシを乗せた後にモーターを回転させています。

 

エポキシの濃度は使用するエポキシによって異なると思いますが、私の場合はA剤とB剤を計量してしたら、A剤とB剤の合計量の2倍の薄め液で希釈して塗布しています。

 

それで、1回目のコーティング終了したら、このエポキシを密閉して1回目のエポキシがおおよそ乾燥した8時間後ぐらいに少し粘度の上昇したこのエポキシを2回目のエポキシコーティングとして使用します。

この際はロッドモーターを回転させながらコーティングしています。

 

エポキシコーティングだけで終了してもいいのですが、私はウレタンコーティングを行っています。

私はガイドの前後やフックキーパー部分のトリムを入れる場合がほとんどで、このトリムは基本的にシルクスレッドを3回転で巻き留めています。

この3回転にはこだわりがありまして、トリムは細くて華奢なほうが綺麗だと考えているので、4回転だと太すぎるし、2回転だと巻き留められないので3回転にしています。

 

シルクスレッドも#100以下の細いスレッドでトリムを巻いています。

よく、ミシン糸のシルクスレッド#50を使う方も多いと思いますが、#50と#100以下のスレッドでは華奢な感じが全然違うのです。

当然太い#50のスレッドの方がラッピングは楽なのですが、華奢な感じのラッピングをするには#100以下のシルクスレッドでなければならないと思うのです。

話はそれましたが、このトリムを行うとシルクスレッド際にスレッドを力強く引っ張ると簡単にほつれてしまうので、ほつれないようにシルクスレッドをカットしないといけません。

デザインナイフでカットしているのですが、カット位置が少しでもズレるとシルクスレッドのカット端が少し残ってしまいます。

このカット端にエポキシをコーティングするとカット端部分が少し盛り上がってしまうのです。

ほんのわずかな盛り上がりなのですが、エポキシで表面をコートしているので、光の反射がこの盛り上がり部分で反射状態が変わるので盛り上がりが強調されるのです。

トリムは華奢なほうが良いとか散々言いながら、スレッド端部が盛り上がった状態のエポキシコーティングなど許されるはずがありません。

 

なので、ウレタンコーティングを2回行い、1回目のウレタンコーティング後にスレッド部分の盛り上がり部分をデザインナイフでカットして、盛り上がりを無くした状態で2回目のウレタンコーティングで仕上げコートしています。

 

ウレタンは薄め液で希釈すること無くコーティングしています。

 

このエポキシとウレタンのコーティングはバンブーロッドの場合も同じ工程で行っており、ロッドが異なってもこのプロセスは変えないようにすることでプロセスの安定を目指しています。

ブランクカラーの主張が強くてシルクスレッドカラーは控えめになってしまっていますが、その中でもよく見ると手間をかけた手仕事をしているということが読み解けて、これはこれでいい感じだと思っています。

 

エポキシ2回、ウレタン2回のコーティングを行いましたが、心掛けていることはコーティング厚さを薄くして、ボテッとさせないようにしています。

これも、シルクスレッドを#100以下にすることでラッピング部分の厚みを抑えることでコーティング部位の厚さを抑えることに貢献していると思います。

 

大量生産メーカーがやっているようなボテッとしたコーティングはいかにも、コーティングを早く、簡単に行うかに主眼を置いたやり方だと思うので、コーティング部分も日本人らしい細やかな部分に配慮してはいるが、大きくは主張しない控えめな日本人らしさが伝わるといいなと思っています。

 

今回のロッドはお客様の要望に対応して作製いたしました。