自宅周辺で「もくもく工房」という建物が以前から気になっており、先日初めて訪れることができました。
もくもく工房はテーブル用の一枚板を中心に取り扱っているお店で、端材の販売もやっておりました。
私の住む奈良県桜井市は、昔から木材の町として知られており、奈良県では吉野杉が有名なんですが、それらの木材の市場として栄えてきた歴史があり、木材に関連する材木屋さん、建具屋さんが多い町なんです。
建築用材料の取り扱いが多いようで、私が良く使用する花梨等の板材のお取り扱いはないようです。
そんな町なので、製材関連を請け負ってくれそうな会社もありそうなんですが、ネットで調べても持ち込み加工を請け負ってくれそうな会社は見つけられない状態でした。
もくもく工房には製材用の機械が設置されており、そこで加工、販売しているようなお店で、端材を見ていると良さげなウォールナット材を見つけたのですが、板厚が10mm程度のものでした。
フロータントケースを加工するなら、7mmと5.5mmの板材が理想なので、店員さんに「板厚を7mmと5.5mmに加工してもらうことは可能ですか?」と聞くと、加工関連は週末に行っており、週末まで待ってもらえるなら加工できるとの回答を得ることができました。
週末にお店を訪ねると加工の終わったウォールナット材がそこにあり、加工後の値段を聞くと加工前の板材の値段よりも安くなっていて、理由を聞くと、加工で板厚を落としているので、値段も落としましたとのことで、紳士的な対応に感心したのでした。
ついでに、自分で購入した板材を製材してもらうことは可能ですか?と聞くと、やります!との回答を頂くことができ、これからはこのお店を利用させていただこうと考えております。
ウォールナット材はクルミの木なので、固くで衝撃に強く、寸法変化の小さい材料で古くから家具や工芸用材として用いられているらしく、木目も綺麗なので、フロータントケースにはもってこいの材料です。
早速、加工を開始しました。
前回の試作時に課題として抽出していいた脱落防止対策は、マグネット部分の形状を若干変更しております。
これは文章で説明するよりも完成形状を見てもらうと判り易いです。
さて、加工はφ1.5mmのエンドミルで加工しているのですが、細いエンドミルなのでハードな加工をするとエンドミルが破損するので、深さ方向の加工は数回に分けて加工するようにしております。
フロータントケースを構成するウッドパーツはフロータントを入れておく、ボディ材、フロータントの蓋部材の、カバー、ヒンジ部分を構成するDヒンジ5個によって構成されています。
エンドミルで加工する部分としては、ヒンジ部分を収納する部分の加工、Oリングを収める部分の加工、マグネットを収納する部分の加工、フロータントを収納する部分の加工、外周部分の輪郭加工が必要です。
これは、ボディ材とカバー両方にこの加工が必要になります。
さらにD型ヒンジ5個分の加工が必要になります。
加工時間を計測するとフロータントケースを構成するウッド材の機械加工時間としては約80分となっていました。
この機械加工の後に、バリやカエリの除去、サンドペーパーでのサンディング、ヒンジ、マグネットの接着、落下防止用穴加工が必要になります。
サンディング、接着の後にウレタンコーティングを行なえば完成となります。
トータルでフロータントケース1個当たり100分の加工時間が掛かることになります。
1個ずつ加工するわけではないのですが、時間で換算すると1日当たり5個程度の加工時間になります。
実際には接着剤の効果時間や、コーティング乾燥時間が加わりますので、リードタイムとしては100分ではなく、もっと長い時間が必要になってしまいます。
フロータントケースの改良版は現在D型ヒンジの接着剤の効果待ち状態です。
この後マグネットの接着、落下防止機構の加工、コーティング、ヒンジ部分の結合の作業が残っています。
ウォールナットでの加工は、木の温かみを感じる木肌の感じが好きです。
コーティングはコテコテにするよりも、うっすらとコーティングしてこの木肌の温かみの感触を残したようなコーティングがいいと思っています。
つるや釣具店さんでのWebショップ用に5個程度は完成させたいと思っています。
勿論、つるや釣具店さんのWebショップでも、Retro Rod&Reelでも同時販売する予定です。
完成までもうしばらくお待ちください。