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バンブーロッドのアクシデント

それは、桜が満開の時だったと思います。

バンブーロッドの修理依頼の相談がありました。

トップガイドと1stスネイクガイドの間でブランクの一部が剥離しているので、修理できませんか?

との内容でした。

 

剥離部分に接着剤を塗布して、バインディングし、補強巻きをするのが良いだろうと回答して、ロッドを送付していただきました。

ロッドは8’00” 3PCのバンブーロッドでした。

接着、バインディングを行い、はみ出した接着剤を除去して、補強巻きをしようとしていた時の事です。

 

私はかなり老眼が進行しており、拡大鏡を用いてラッピングを行っています。

ロッドをラッパーにセットして、拡大鏡を配置して、スレッドを取り出そうとしてた時に、「ガッシャン」と言う音がしました。

 

拡大鏡がセットしたロッドに倒れ、ロッドティップは無残にも2つに折れてしまっておりました。

嫌な汗が噴き出て、心臓がバクバクしています。

 

依頼者に、素直にお詫びをして、ティップを作り直すことを提案いたしました。

依頼者の方もそれ以外に手段が無いため、受け入れて頂けました。

 

ラッピングをよく見ると#50のシルクスレッドのようですが、私は#50のしっるくスレッドは数本しか所有しておらず、スレッドカラーを問い合わせてみましたが、

バンブーロッドのビルダーさんと連絡が付かないとのことで、考えた挙句、Tipを再作製して、すべてのラッピングをやり直すことに....。

まず、Tipの採寸を行い、曲がり直し、荒削り、バインディング、火入れ、スクレッピング、仕上げ削り、接着、接着剤削り、コーティング、フェルール接着と順に行いました。

 

Tipのガイドラッピングを行い、Midde、Buttのラッピングを解いて、再ラッピングを行いました。

#50番のシルクスレッドがなかったので、#100のシルクでラッピングを行いました。

 

写真は元のラッピング状態です。

スレッドカラーが大きく異ならないようなスレッドを探してラッピングを行いました。

ラッピング直後の写真です。

この後、エポキシ塗布を繰り返します。

 

このロッドはコーティング後にラッピングを行っており、それに従って対応いたしました。

Tipだけよりも2倍程度のラッピング時間が掛かりましたが、丁寧にラッピングを行いました。

と言うことで、昨日コーティングも無事に終了し、発送を完了いたしました。

 

元々は1万円以下でTipの補修を依頼されていたものであり、

送料込み1万円で補修いたしました。

 

依頼者様には大変ご迷惑をお掛け致しましたが、なんとか無事にリカバーすることができました。

一時はどうなることかと思いましたが、本日無事に到着したとの一報を頂きました。

 

預かり品については細心の注意を払うことを忘れないようにしたいと思った一件でした。