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最近の仕事

4月からバンブーロッドの加工を開始していますが、それと並行して色んな加工を行なっていました。

加工完了したものや、現在加工中のものを併せて紹介したいと思います。

 

まずは、ルアーリール用のS字ハンドルとウッドノブ

これは現在加工中で、出来上がりを依頼者にイメージしていただくために設計した3D図面です。

 

最近は渓流でヤマメやイワナをルアーで釣るルアーフィッシャーも多く、ルアーリール用パーツについても加工できるように勉強したいと考えています。

 

さて、同じようなトラウトを釣るための道具であるルアーリールとフライリールですが、ハンドルノブの大きさが随分と違います。

ルアーリール用のハンドルノブの方が1.5倍ぐらい大きいのです。

 

私はフライしかしないので、ルアーリールを見ると、ハンドルノブのデカさが気になってしまいます。

なにか規格があるわけでもないので、好みの形状にすればよいのでしょうが、依頼されるのノブ形状について、いつも依頼者と寸法について意見が分かれます。

 

デザインする側からいえば、もう少し小さいほうがハンドルとのバランスもいいと思うのですが、実際に使っていない立場なので、強く勧めることも出来ず、もどかしい思いをすることもあります。

 

 

 

こちらはフルーガーメダリスト1492用のリールフットです。

フルーガーは製作された年代や国によってリールフット形状が異なるようで、お気に入りのロッドに装着できないので何とかなりませんかと言った相談があります。

 

リールフットの加工方法ですが、私の場合、円筒状態でリールフット3個分を一気に加工して、最後に3分割してリールフットを作製しています。

今回の依頼分については、前回加工分の在庫がありましたので、即納することができました。

 

通常はリールを預かり、装着後に返却するようにしているのですが、今回は、リールフットを送付して、装着確認をお願いしております。

 

リールフットについては、メーカーによって様々な形状で、厚さや長さがそれぞれ異なっており、私も自分用リールのリールフット形状は悩みましたが、ハーディーリールの標準的なリールフットを参考にサイズを決めた経緯がございます。

 

新たにリールフットをデザインして加工するとなると結構な時間が掛かりますが、お悩みのリールフット問題を解決するお手伝いができるかもしれません。

次はABEL TR  1の裏面のキャップの加工依頼です。

こちらはリールを送付していただき、加工を行ないました。

詳細な形状を計測して加工するためにはどうしても現物を計測して加工したほうが良いとの判断からです。

 

どうせなら花梨の瘤材で加工して欲しいとのご依頼があり、加工を開始しました。

このパーツは厚みが3mm程度しかないため旋盤のチャックが大変でした。

また、コーティングを厚めにするために、何度もコーティングを繰り返しては研磨して、希望の厚みになるようにコーティングしてみるのですが、コーティングが厚すぎると、研磨の熱でコーティング部分にしわが入ったり、研磨しすぎて木肌が露出したりと、結構コーティングに時間が掛かったのです。

 

あと、気になった点として、このパーツは接着で、リールに固定したのですが、元々のキャップも接着で装着されているようです。

 

元々のキャップ材料がどのようなものかは良く知りませんが、リールのフレーム材と異種材料であれば、当然線膨張率も異なり、温度変化に対して伸縮します。

冬場の外気温、夏場の車内等を考えると伸縮により接着剤が劣化してキャップが剥離することは容易に想像できます。

 

このウッドキャップはリール本体と弾性接着剤で接着しました。

弾性接着剤はその名の通りゴムのような弾性を持ち、厳しい温度変化に対しても、弾性接着剤の変形で追従するため、温度環境の厳しい接着に多用されます。

 

このウッドキャップは依頼者の方も気に入って頂けたようで、こちらまで嬉しくなりました。

他には、6PCロッドのリールシートの交換とフックキーパーの取り付け依頼でした。

送られてきたロッドはブランク径が10mmあり、手持ちのシールシートの内径を広げようと加工を試みましたが、加工熱で表面コーティングに影響するようで、新たにリールシートの加工から開始いたしました。

 

そうなるとコーティングも何度も繰り返すこととなり、コーティングだけでも2週間程度の時間が掛かりました。

コーティングさえ終われば、金具類はストック品をブルーイングして、あとはフックキーパーのラッピングです。

 

ラッピング、エポキシコーティング、ウレタンコーティングを施して、修理完了です。

 

修理に関しては、困っているからこそ、私のところに相談されているわけであり、それに付け込んで高額な修理費を吹っかけて、なんてしてると一気に評判はがた落ちして、やっていけなくなるのは目に見えています。

 

それよりも、救世主として、修理のお手伝いをして、期待を超えるモノづくりを見せて、ファンになっていただけるようにと考えています。

 

修理はコマーシャル活動の一環です。

 

なにかお困りごとがあれば是非ご相談ください。

私にできることは限られていますが、できる仕事は全力で取り組みますので......。