Twitterつながりの方より五十鈴工業のリール521x用のS字ハンドルと花梨のノブを加工できませんか?
との質問があり、ノブ間ピッチ、ハンドルノブ高さ、ノブ径等を確認し、参考図を作成しました。
1度目の参考図ではノブ高さが高すぎるような気がしたので、修正し、ノブ形状もそれに合わせて修正しました。
ルアーリール用のハンドルノブはフライ用と比較して、ノブ径が大きく、高さも高いようです。
また、市販品のノブは樹脂製だったり、ゴム製だったり、金属だったりと材質も様々で、円筒ではない形状のノブもあり、興味深いです。
また、ノブはハンドルにカシメて固定されているものも多く、今回送付していただいた五十鈴工業のリール521x用のノブもハンドルにカシメられていました。
カシメた方が強度的に強いのかもしれませんが、注油したり、メンテしたりする場合はカシメられているとどうしようもありません。
私の作製するノブはねじ止めしております。
これは、メンテしやすいようにと言うこともありますが、故障した場合にユニット交換しなくて、各パーツ交換で対応できるようにと言う配慮からです。
花梨のノブは親指のカーブにフィットするようなR加工を施しております。
これらの形状はCNC旋盤加工を行ない、更に研磨を行い、表面を仕上げていきます。
ノブ部分を突っ切り加工後、細かなR加工を行ない、シーラントを塗り込み、その後ウレタン塗布を行います。
4~5回コーティング後、水研ぎを行い、更にコーティングを行い、トータル11回のコーティングを行いました。
このシーズンは気温が高くコーティングを1日2回行うことができますが、それでもコーティングに6日掛かります。
コーティングに近道なし。
私の仕事はコーティングに縁のある仕事が多く、バンブーロッドのコーティング、リールシートのコーティング、フライリールのフェイスプレートのコーティング、ハンドルノブのコーティング、スタッカーのコーティング等々、色んな形状のものにコーティングを行いますが、厚く塗ると、しわが入ったり、ボテッとした感じになったりするので、何度も何度も繰り返しコーティングを行うようにしていて、決して近道にない地味な作業なのです。
最近はコーティング後に、水研ぎして、高番手の研磨粒子で研磨することにより、コーティング直後のような透明感のある状態を作り上げることができるようになったので、研磨に時間は掛かりますが、安定したコーティング状態を確保することができるようになりました。
S字ハンドル部分はジュラルミンをフライス加工して形状を作り出しています。
S字ハンドルも加工後に研磨して、磨き上げていきます。
大手メーカーでは、メッキしたり、アルマイト処理したりして、輝きを付与したり、トレンドカラーを取りいれたりしておりますが、私は素材そのものの輝きを大切にしています。
素材を研磨したものであれば、細かな傷は自分で研磨することも可能ですが、メッキやアルマイトでは、キズを広げることになってしまいます。
自分でコントロールできない素材にはあまり魅力を感じません。
反対に自分の手を動かした分だけ輝きを放つ研磨作業は面倒ですが、やりがいを感じます。
大量生産には縁遠い職人スタイルを貫いておりますが、大手メーカーにはできない小回りの利く、ユーザーにとって都合の良いメーカーでありたいと思っています。
このハンドルとのノブ一式で11800円程度で加工可能です。
相談、見積もりは無料ですので、なんなりとご相談ください。