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G-Ballad 修理

Retro Rod G-Ballad 7’03” #3 6PCのTipが破損したとのことで、修理依頼がありました。

どうやら友人にTip部分を踏まれたとのことで、完全にポキッと折れてしまっています。

 

修理としては、折れている部分にグラスファイバーの芯棒を挿入して接着しようと考えています。

マスキングテープで仮止めし、キャスティングしてみましたが、ティップ部分の重量増はアクションへの影響度が大きく、芯棒の長さを50mmから30mmに変更しました。

 

あまり短くしすぎると、強度の面で心配があったので、30mmに落ち着きました。

芯棒は、グラスロッドの渓流竿の先端部分を利用して、Tipの内径に合うように研磨して作製いたしました。

接着は、90分硬化型のエポキシ系接着剤で接着しました。

 

折れた部分のパーツは完全に残っており、芯棒を挿入して合わせるとピッタリと合うので、この状態で接着剤の硬化を待ち、硬化後は余剰接着剤を削り落としました。

 

この余剰接着剤の削り落としの際は、ロッド表面を削ってしまうと塗装面が削れてしまうので、注意が必要です。

また、破断面はグラスファイバーの本来の色が露出してしまっているので、ブラウンで軽く着色して接着しました。

接着部分の削り落とし後は、補強巻きを行いました。

芯棒であるグラスファイバーと同じ長さ程度、ラッピングしています。

 

ラッピングはシルクスレッドの#100で巻いています。

ラッピングスレッドが太いと、コーティング後も目立つので、出来るだけ目立たないように#100のシルクスレッドにしています。

カラーはホワイトで、エポキシ塗布後にシースルー状態にして、補修部分が目立たないように配慮しました。

 

ラッピング自体は、クルクルと巻くだけなので、難しくはないのですが、スレッドの重なり等がないように確認しながらラッピングしております。

エポキシコーティングはナガシマ製のエポキシを使用しております。

私のレシピは主剤:硬化剤:薄め液の割合を1:1:2にしますが、

まず、主剤:硬化剤を1:1で計量し、3分程度撹拌したのちに、薄め液を同量足して、3分撹拌して、コーティングしています。

 

この計量に関しては、以前にブログで、軽量について書いたことがありますので、もしエポキシの硬化不良等であ悩みの方がおられましたら、ブログをさかのぼって是非チェックしてみてください。

 

コーティングは1回目のコーティング後に#1000程度のラッピングペーパーで凹凸を均して、2回目のエポキシも同一レシピで混合してコーティングを行いました。

 

強度を確保するにはある程度のエポキシ厚さがあったほうが良いように思いますが、厚すぎると見た目が良くないので、2回のコーティングで止めております。

 

この写真の倍率であれば判りますが、実際のロッドを確認しても、修理している部分はパッとした感じでは気づかないレベルで補修できております。

 

さて、アクションについてですが、このロッドはG-Balladと命名している通り、バンブーロッドのBalladのグラスバージョンと言う位置づけであり、リーダーキャストしやすいスローアクションのロッドなのですが、感覚として申し上げるなら、7’03”だったロッドアクションが、7’06”のロッドアクションになったような感覚のアクションです。

より、スローなアクションとなったため、フォワードでも、バックでもしっかりとロッドを止めて、Tipがしっかりターンするまで我慢するゆとりを持ってキャスティングすると、ゆったりとしたキャスティングリズムからトルクのあるループを作り上げることができることでしょう。

上級者向きのロッドですが、使っていただいているユーザー様からは好評のようで、このロッドであれば、バンブーへの移行や、バンブーロッドからグラスロッドに持ち替えても全く違和感なく使用できると思います。

6PCというパックロッドなので、仕舞寸法40cm程度であり、ベルトの背中に入れて予備ロッドとするもよし、源流釣行時に両手を使って滝を巻くも良し、普段使いにももちろん、至近距離でのサイトフィッシングは抜群に楽しいロッドです。

 

無事修理完了です。