前回のブログで少し触れましたが、FacebookつながりでAMPEX CLリールのハンドルノブの修理を依頼された方と時を同じくして、同じAMPEX CLリールの修理を依頼されている方は、センターネジを紛失したとのことだったので、当初はリールを送付していただき、各部分を計測して加工する予定でしたが、ノブ修理のリールのセンターネジを計測したので、リールは送付していただかなくても加工できるというラッキーなことがありました。
AMPEX CLリールのセンターネジはM4の並目ネジであり、ネジの一部にローレット状の転写が確認できます。
ネジ頭の径は9.5mmだったので、φ10mmの真鍮でまずネジ部分を加工します。
M4.0なので、φ3.9mmまで削り込んで、ダイス加工でM4ネジを作製しました。
この状態で突っ切り加工してネジ頭部分がφ10mmの円筒状の状態にします。
次にネジ頭部分の加工を行なうのですが、まず、余り材料で外径8mmでm4のメネジ加工した治具を加工しました。
その治具に円筒状のネジを締め込んで、旋盤でネジ頭部分の加工を行ないました。
外径9.5mmに加工し、ネジ頭部分が円弧状になるようにバイトで面取り角度を変えながらR加工を行ないました。
次にネジ頭の円弧が終わる付近にローレット加工を行ないます。
全く同じようなローレット加工は出来ないので、ここはアヤメローレットの片側で斜めのローレットを入れました。
その後ネジ頭のR部分を軽く研磨し、スリワリ加工です。
スリワリ加工とはマイナスネジ部分の加工の事で、ネジ頭にフライス盤で溝加工を行ないます。
1個だけの加工なので原始的な加工で対応しております。
スリワリ加工後は軽く磨いて、完了です。
土曜日に発送し、本日無事に到着し、リールにジャストフィットでしたと連絡がありました。
リールを送付いただかなくても加工できたので安く修理できたと思います。
今回はAMPEX CLリールのセンターネジ加工のお話でした。
リールのトラブルのご相談受け付けております。