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Fly Box

奈良県桜井市は古くから木材の町として知られていました。

吉野杉を代表とする建築用の材木が集まる街で、以前は町のいたるところに材木置き場があり、製材所があり、建具屋さん、家具屋さんがありましたが、徐々に衰退し今に至っています。

 

さて、そんな町ですがわずかに残った木材関連の会社の中で、端材を扱うところがあったので、覗いてみると、ウォールナットの板材がありました。

また、店の奥には製材関連の装置があり、厚さ指定したら加工してもらえるか聞いたところ、週末だったら加工できるとのことだったので、板材を指定厚さに加工してもらいました。

 

このウォールナット材でFly Boxを加工しようと考えていました。

板材を手に入れてから結構な時間が経ちましたが、漸くテスト加工が出来ました。

以前も何度かFly Boxを加工してみて、サイズ、構造、形状を煮詰めて、今回のテスト加工となりました。

 

サイズ的には110mm×69mm×33mm程度で、Woodヒンジの部分4mm程度突出した部分を含んだサイズです。

内部のサイズは105mm×58mm×Fly収納部分の深さは18mmとなっています。

 

このFly Boxの特徴は何と言ってもこのヒンジ部分です。

通常のヒンジは金属製であり、出来るだけこの金属製のヒンジを目立たないようにした構成になっていますが、ヒンジ部分を同じウォールナット材で構成し、敢えてこのヒンジ構造をこのFly Boxの大きな特徴としてデザインいたしました。

ヒンジの反対側にはマグネットを埋め込んで上蓋と下蓋とを密着させる構成にしています。

 

写真は、加工が終了して、仮組した状態のものです。

この状態から、バリ取り、研磨、ヒンジ部分の接着、マグネット接着、コーティングへと進みます。

 

まず、表面をサンディングし細かな部分のR面取りを行い、サンドペーパーで研磨していきます。

#320 #400 #600 最後に#1000相当で研磨して仕上げます。

 

ウッドヒンジ部分も同様に研磨して、接着します。

ウッド部分は真鍮棒によって開閉可能な状態にしております。

 

座グリ穴部分にマグネットを接着して、コーティングです。

今回のウォールナットは木目が綺麗なので、余り分厚くコーティングせず、ウレタン塗料を2回ほど拭き塗りしています。

 

写真にはありませんが、仕切り板を設けて、このサイズのFly Boxであれば6分割の仕切り板にして、Flyっを収納できるようにしております。

 

写真のように仕切り板の無い状態で使用すれば、Fly以外の用途にも使用可能です。

アクセサリー入れや、ルアーケース等々、アイデア次第で色んな用途に応用可能です。

ちなみに、仕切り板の無い状態での重量は47gと軽量で、源流域への釣行時でも重量負担が少ないFly Boxになっています。

 

このFly Boxにお気に入りのFlyを入れて、夏場の山岳渓流で遊ぶ。

楽しいですよ。

 

あと何個か試作して、販売予定にしております。

ハンドクラフト展でお披露目できることを楽しみにしております。