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バンブーロッドのメンテナンス

6年ぶりにリペアのために帰郷してきたバンブーロッドのメンテナンスを行いました。

フェルール部分のガタツキが出てきたとのことなので、すべてのフェルールを取り外して、再接着することにしました。

 

文字で書くと簡単なんですが、実際の作業は案外大変なのです。

まず、ラッピングのシルクスレッドを取り外します。

デザインナイフの先端でシルクスレッドをほぐしていくんですが、この部分はダブルラップしているので、シルクスレッドを取り外すのも時間がかかります。

 

スレッドを取り外したら、フェルール部分をアルコールランプで少し熱してフェルールを抜きます。

熱しすぎるとブランクが炭化するので、少し熱しては抜いてみる作業を繰り返して、出来る限るブランクにダメージの無いようにフェルールを抜きます。

 

フェルールを抜いた後のブランクは、接着剤が残っており、その接着剤は表面が滑らかであるため、そのまま接着すると、接着剤の食いつきが良くないので、ブランク表面をサンドペーパーで荒らします。

#320程度のサンドペーパーで荒らすことでエポキシの食いつきを高めます

これは、アンカー効果と言って、表面を荒らすことで接着剤がその凹凸の細かな部分まで入り込み、接着強度が増します。

 

取り外したフェルール内部も丁寧に脱脂して、90分硬化型のエポキシ接着剤で硬化させます。

 

 

このバンブーロッドのフェルールはニッケルシルバーを黒染めしており、更にフルバーニッシュしているので、接着後にフェルール外側の研磨をおこない、バーニッシュと黒染めを取り除きます。

 

その後、研磨を行い鏡面に仕上げます。

オスフェルールの結合部分はマスキングして、キズが付かないように配慮して作業を進めます。

 

これらの作業は旋盤にバンブーロッドをチャックして研磨を行ないます。

このロッドは7’06” #3 4pcsなので、1st、2nd部分は問題なかったのですが、3rd、4th部分はガイドや、グリップが旋盤のチャックに干渉するため、貫通穴径が10mm程度の小型旋盤ではチャック出来ないようです。

 

私の旋盤は貫通穴が20mmなのでなんとか旋盤にチャックして研磨を行うことができました。

 

研磨が終了した状態ではセレーション部分などに研磨材等が付着していますので、このセレーション部分の汚れを取り除き、脱脂を行います。

 

研磨が終了したフェルールは黒染めを行ないます。

黒染めしたフェルールをブランクに接着する方法もありますが、私はブランクにフェルールを接着したのちに黒染めを行っています。

 

メスフェルールの穴部分に詰め物をして、黒染液が入らないようにし、オスフェルールの結合部にはマスキングテープを巻き付けて、黒染めされないように養生しておきます。

 

黒染めは、黒染め液に1分付けた後に水洗して、再度1分黒染め液に付け、水洗します。

黒染め後は、ラッピングです。

メインはブラウン系のシルクスレッドでダブルラップして、トリムに赤と黒を入れています。

フェルール3つなので、6か所のラッピングを行ないます。

 

今回は、試作のグラスロッドと同時進行でラッピングを進めました。

 

コーティング以降については、次に機会に投稿予定です。