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Ferruleについて

フェルールは自作するようにしております。ニッケルシルバーの丸棒から削り出すのですが、すべての加工に気を使います。

外形加工はNC加工するので、問題ないのですが、内径加工、リーマ加工、セレーション加工、摺り合わせ、ブルーイング等々気を使うプロセスが多いように思います。

 

さて、最近では、バンブーロッドにも色んなフェルールを付けたロッドが世の中にあふれています。

バンブーフェルール、グラスフェルール、カーボンフェルール等々

なぜ、色んなフェルールが登場したのでしょうか?

それは、フェルール部分も曲がるようにしたいとの思いからだと思うのですが、

確かにニッケルシルバー材よりも曲がりやすい材料でフェルールを構成すると曲がるようになるのは確かだと思います。

 

しかしながら、私個人の意見を言わせてもらえば.....

不細工なフェルールや精度の無いフェルールばかりなんです。

 

グラスフェルール、カーボンフェルール

これらはロッド材料でもあり、フェルール自体も良く曲がるでしょう。

しかしながらグラスにしてもカーボンにしても製作方法としてはマンドレルにプリプレグを巻き付けて焼成する方法なので、プリプレグの巻き始め部分は内径に、巻き終わり部分は外径の真円度を阻害してしまいます。

また、テーパーが付いているので、オスフェルールとメスフェルールとでテーパーが少しでも異なるとフェールール内部では点接触、または線接触しかせず、フェルールを差し込んでもすぐに回転したり、キャスティングするとカチカチと音がすることがあります。

これはフェルールとしてはNGです。

グラスやカーボンを使用する際はテーパーを無くすように加工して、また、プリプレグの巻きはじめ、巻き終わりによる真円度の劣化を無くすように追加工が必要です。

 

それらを解決しても、やはり曲がりやすい材料でフェルールを構成するとニッケルシルバーのフェルールよりも肉厚を必要としてしまいます。

この肉厚が問題なのです。

 

肉厚が増えると当然のことながらフェルールの外径が大きくなります。

 

私はバンブーロッドを作製してから、スーパースイスタイプやステップダウンタイプのフェルールを色々と使用してきました。

 

最終的にはステックダウンのフェルールを使用するようになりました。

その理由はフェルール外径と、ブランク外径の差が一番小さいフェルールだからです。

フェルール外径部分がブランク外径とあまり変わらないので、デザイン的に非常にきれいなロッドができるのです。

このロッドデザインの美しさを実現するために敢えてステップダウンのフェルールを使用しているのです。

 

ですから、スーパースイスや、それ以上にブランク外径よりも太ったフェルールは不細工すぎて使用したいとは思わないのです。

 

バンブーフェルール

かなりのビルダーが手掛けているので、あまり否定的なことを言うのは良くないとは思うのですが、あくまでも私個人の意見です。

 

まず、バンブーのブランクの対面幅バラツキが規定幅に対して±30μmあったと仮定しましょう。

バンブーフェルールのメス側を加工するために削り出したブランクの内側対面幅バラツキも±30μmあったと仮定しましょう。

 

これに対して、ニッケルシルバーのフェルールは旋盤で回転させて加工を行ない、リーマー加工、すり合わせを行い、数μmの加工精度ですり合わせを行っています。

以上、精度の点から比較するとニッケルシルバーの方が圧倒的に高精度加工が可能であることが判ります。

 

ですから、フェルールを抜いた時に「ピッ」という音が聞こえます。これはフェルールを抜くときに中の空気が減圧され、その減圧された空気が一気に大気解放された瞬間に発生するものです。

金属フェルール以外でも精度良く加工されたフェルールであればこの音が聞こえるはずなんですが、バンブーフェルールで、この「ピッ」と言う音って聞こえるんでしょうか?

 

バンブーフェルールは上記のような加工精度から鑑みると点接触しかしていないはずなんです。

なので使用していると、そしてその点接触部分に応力集中してしまいます。

そうなると.....なんです。

 

肉厚の話になると、もうネガティブ発言だけになりそうなので止めておきます。

決してニッケルシルバーのフェルールが全てで、それ以外はダメと言ってるわけではありません。

デザインの話になるとニッケルシルバーが一番の好みですと言うだけで、アクションの話になると、また評価は変わってくると思うのですが、

アクションに関してはテーパーで調整できるのではないかと考えているんですけどね!

 

マルチピースになると金属フェルールの重量がネックになってしまうことは重々承知しております。

ですが、フライベストの背中にすっぽりと収まる6ピース程度のロッドになると、グラスロッドの方が良いと思っているので、この点に関しては現在6PCSのグラスロッドを製作すべく、メーカー側と何度となく試作を繰り返している段階です。

 

同じテーパーで、フェルールだけニッケルシルバー、グラスフェルール、バンブーフェルールで比較してみないと何とも言えません。

以前、同一テーパーで、トンキン、真竹、女竹でロッドを作製し比較しましたが、だれか同一テーパーでフェルール材料違いをやってもらえませんか?

グラスフェルールは現在グラスロッドの開発を行っており、メーカーサイドより材料取り寄せは簡単にできると思うのですが、バンブーフェルールは結構手間がかかりそうで、ぶっつけ本番1回でまともなバンブーフェルールができそうな気がしません。

 

でも同一テーパーロッドでフェルール比較したことが無いのであればやってみたい企画です。