レイズドピラーリールはその名の通りピラー(柱)部分が膨らんだとか持ち上がったリールなんですが、
ピラー部分以外の不必要なフレーム部分を無くした形状になっていて、小さいリールに見えます。
この小さいリールに見えるということは実は非常に重要なことでロッドとのバランス的にも、ロッドッとリールのサイズ感からくる美的感覚というかなんというか、もうとにかく美しいんです。
レイズドピラーの美しいリールをつくりたいとの思いから独立したのも事実です。
美しいリールを作るためにまず考えたことは、
・自然の色合いを活かすこと
・必要のないものを隠すこと
・曲線を活かすこと
この3つは意識しておりました。
自然の色を活かすこととは、本来の色ではないモノを着色したりして不自然な状態で使わない事で、
素材そのものを加工して磨いて作り出すことを心掛けました。
例えば、アルミに対するアルマイト処理や着色です。
キズが付いたから磨くということは叶わず、研磨するとアルマイトや着色は消え、手を加えるほど不細工にいなってしまう材料は使いたくなかったのです。
必要のないものを隠すというのは、リール内部にはクリック機構が組み込まれていますが、これらのパーツを固定するためのネジやリベットがリール表面に露出することで、せっかくのデザインを阻害してしまうと考え、美しさを低下させるものをリール表面に露出させないための工夫を考えました。
曲線を活かすというのは、フェイスプレートであったり、ピラーであったり、スプールであったり、これらは直線で構成されていても問題ないのですが、これらに曲線を組み合わせることで、セクシーな曲線美を作り上げることができるのです。
この曲線に手研磨が組み合わさると更になめらかな曲線が生まれ、金属でありながら、温かさを生むと表現したくなるような愛おしい形状になると考えております。
レイズドピラーリールには5本のピラーがあります。そのうちの2本はリールフットとフレームとを繋ぐために使用されています。
3本はフレーム同士をつなぎ合わせるために使用されています。
このピラー形状も前述のように曲面を組み合わせて温かみのあるデザインにしています。
また、デザインの観点で申し上げると、フレーム同士をつなぐ3本のピラーよりも細くしています。
これはピラー間隔が比較的狭い状態だったので他のピラーと同サイズだとそのピラーがゴツく見えてしまったからです。
ちなみに3本のピラーはそのままピラーと呼んでいますが、リールフットとフレームを繋ぐピラーはフットピラーと呼ぶようにしています。
このように何気ないパーツも組み込んでみていろんな角度から観察して、サイズを変えて、デザインを変えて最終形状を決めています。
円筒状のピラーのままであれば加工も簡単です。研磨も簡単です。
一部に窪みを付けるとそれだけでも加工時間は増加します。研磨も大変になります。
ピカピカに磨こうとするとさらに時間がかかります。
でも、ピカピカに輝くピラーがいいんです。綺麗なんです。
綺麗なリールが好きです。綺麗なレイズドピラーリールが大好きなんです。
加工に時間がかかっても、研磨に時間がかかっても、それが私の欲しいリールなんです。
私は、自分の作ったこのレイズドピラーリールが大好きなんです。
拘った分だけ時間がかかります。こだわった分だけコストアップしてしまいます。
でも、このリールじゃなければダメなんです。
沢山作れるものではありませんが、私の大好きなリールを同じように大好きと思っていただける人のもとへ送るときには誇らしくて寂しい気分になるのです。
安いリールを作るのは簡単です。こだわりを捨てて時間を掛けずに作ればいいのです。
でもそんなリールは作っていて楽しくありません。
今日も爪の中まで真っ黒にしながらピラーとフットピラーを磨きました。
磨いていて、楽しいと思いながら磨きました。
Buddy Reelはそんなリールです。