リールシート金具の加工を開始しております。
Ringの加工は、まず内径加工用のドリル穴加工を行ないます。
φ10mmで、50mm程度の深さドリル加工します。
次に外径加工を行なっていくんですが、今回のRingは4つの連続加工を行ないます。
今回依頼を受けたRingは内径にテーパーを付けた形状なので、内径加工は1個ずつの加工になります。
内径加工を1個行ったら突っ切って、また内径加工を行なうと言った要領です。
文章にするとそんなに大したことではなさそうなんですが、実は案外大変なのです。
内径加工を精度よく行うために、中ぐりバイトで内径加工を数回行った後に内径用マイクロメーターで計測し、座標設定してNC加工を行なうんですが、1個加工後に突っ切るのでバイト台に突っ切りバイトを取り付けて突っ切って、再度中ぐりバイトに交換して内径加工を数回行った後に内径用マイクロメーターで計測し.....を繰り返すので、非常に手間なんです。
なので、加工材を複数本準備して内径加工を複数回実施後に突っ切って....という加工を行ないますが、それでも結構手間がかかるのです。
内径にテーパーが付いていなければ問題ないのですが、テーパー付きなので、連続加工が出来なくて、と書いていて気が付いたんですが、テーパーが付いていても連続加工できるんでは?と思い始めました。
個別で内径加工を行なう場合は、テーパーを内径バイトの入り口側を広く、加工深さが深くなるにつれて狭くなるテーパーに加工していました。
この加工では、連続加工を行なおうとするとバイトが接触し、加工できないのです。
でも、テーパーを内径バイトの入り口側を狭く、加工深さが深くなるにつれて広くなるテーパーに加工すれば、連続加工してもバイトが接触すること無く加工できることに気が付きました。
既に依頼分の加工は完了しているのですが、テーパーを付けて連続加工できるのであれば、自分用のRingもテーパー付きにしようかと目論んでおります。
さて、Ringの加工で気を使う加工として、溝内へのローレット加工があります。
今回は、ローレット加工位置を丁寧に確認して回転数、押し込み量の条件出しを行い、加工を行ないました。
結果、加工ミスなし。
今まで少し苦手意識があった加工ですが、何とか克服できたような気がします。
突っ切り後のRingは面取り加工後研磨を行ないます。
この研磨も地味に時間の掛かる作業なんです。#400,♯600、#1000、白棒、青棒、更に細かな番手での仕上げ研磨を行うと、1個当たり10分程度の時間がかかります。
10分×写真の個数で計算していただければどのくらい地味な作業か判ると思います。
今はやれやれと言った感じで一息ついている状態です。
実際にかかった作業時間と請求金額を照らし合わせると、バイト並みの金額になってしまい、割に合わない加工ではあるんですが、それでも請け負って、加工して認めて頂くという地味な積み重ねが絶対に必要だと信じて加工を行なっています。
部品加工も然り、リールの修理も然り、決して儲かる仕事ではありませんが、その作業から今回のように何かを学び取り、少し賢くなって皆様に名前を憶えて頂き、信頼していただくという、精進の最中だと信じて今日も爪の中まで真っ黒にしながら機械に向かっております。