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ノブ加工 Vol.3

2022年も4週間が過ぎております。

その間リールの修理が3件あり、新規ノブの開発が1件ありました。

今回は新規ノブ開発についてお話いたします。

 

Twitterで昨年見かけたもので、ベイトフィネスいわゆる渓流でのルアー釣りをやっている方で、両手で2本の竿を持ち、両手でキャスティングするというもので、左手のリールは右巻き、右手のリールは左巻き仕様で、キャスティング後にそれぞれのリールのハンドルのノブを結合させ、ロッドをクランク回転させてラインを巻き取り、ノブの結合を解除して両手でキャスティングを行うという、非常に特殊でマニアックな釣りをされている方の投稿を見つけました。

 

実際にヒットしたらどうゆう感じになるのだろうかと気になっておりました。

投稿では、これらのリールのノブの結合に関していいアイデアがないでしょうか?という内容でした。

 

実際にキャスティングし、ラインを巻き取る動画が掲載されており、器用な動作に感心したのを覚えております。

 

ノブの結合と切り離しが必要であるため、ワンタッチで結合させ、ワンタッチで切り離すとなると、誰もがマグネットや、マジックテープ等を想像します私もマグネットで簡単にできるだろうと思い、本気ならば作りますよ!

とコメントしたら、あれよあれよという感じで話が進んでしまいました。

 

 

ハンドルノブ同士を結合させて回転させるため、クランク回転の直径はハンドル2個分の長さとなり、ハンドルも既製品ではなく、ハンドル長さの短いものが必要になります。

マグネットについても、単にマグネットの磁力だけで結合させた場合、クランク回転時にノブが切り離されたりする可能性があることから、写真のように突起部が他方に挿入される凹凸とマグネットを組み合わせた構造にすればワンタッチ接続でき、回転時に変な方向に力が加わっても簡単には外れにくく、ノブ同士をまっすぐに引き離すと簡単に剥離させることができると思い、マグネットリリーサー用に使用している穴あきマグネットφ10mmを流用して作製してみることにしました。

 

ハンドルはシングルハンドルとの要望があり、ハンドル長さについても指定がありましたので、それらを考慮して加工してみました。

 

マグネットには片面に皿ネジ用の窪みが形成されており、突起のあるオス側はフラットなマグネット、メス側はオス側の突起がスムーズに結合されるように窪みのある面とすることで、突起をガイドしながらセルフアライメントさせつつマグネットの磁力により結合されるようにしています。

簡単な構造ではありますが、何度もマグネットを手に持って実験したのです。

 

また、オス側の突起ですが、この突起はハンドルにノブを固定するためのネジを兼ねています。

メス側は、マグネットの間からドライバーを差し込み、ハンドル裏面からのネジで締め付けることで空回りすること無くねじ込むことができるます。

オス側は、突起部とネジを兼用することで突起部を手で押さえ、ハンドル裏面からのネジで締め付けることで空回りすること無くねじ込むことができるのです。

 

この構成についてもメンテナンス性を犠牲にすることなく、いかに構成するか結構時間を掛けて悩んだところなのです。

 

 

磁力の関係からφ10mmのマグネットを採用したため、ノブサイズは11mm程度となってしまいましたが、

ベイトフィネス2刀流のノブの結合、切り離し、回転時のスムーズさ等の要望を満たしたハンドル、ノブAssey が出来たのではないかと思っております。

 

今後実使用でのテストを経て、仕様変更等を加えながら、本物へ進化させていきたいと考えております。

 

このような独創性のあるモノづくりってとても楽しく、仕様を満足させるためのアイデア出しも含めて楽しい時間を過ごせたと思っております。

 

Retro Rod&Reelでは、ルアーリール用ハンドル、ノブ等の加工もやっております。

色々と相談しながら仕様決めを行い、設計、製作を行ないます。

奇抜なアイデア、突拍子もないデザイン等々、釣り人のできたらいいな!を形にする加工屋さんでありたいと考えております。