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Hardy Perfeect Reel とCFO Ⅴ

前回のブログでFlyweightのフレーム修理について、ブログやSNSで紹介したら、修理依頼があり、現在手元にはHardy Perfect1台 ORVIS CFO Ⅴ 2台 Hardy Featherweight 2台が修理待ちの状態になっています。

 

ボチボチと修理をやっておりますので、その状況を報告したいと思います。

まず、Hardy Perfectはハンドルノブが無くなっているので、修理して欲しいとの依頼です。

また、同じ依頼者の方よりORVIS CFO Ⅴのクリッカー固定用のリベットが壊れたとのことで、これも修理依頼がありました。

 

リベットやり直すことは出来ないので、リベットの取付穴を利用して、見た目がリベットのように加工できないかと考えました。

取付穴はφ2.4mmです。リールの裏面側に露出している留め具形状を再現させようとすると、使用できるネジ径はM2.0mmです。

 

まず、問題のないリベットの各部採寸を行ないました。

クリッカーを取り付けるパーツにM2のネジ加工を行ない、リールの裏面側に露出している留め具にm2のメネジ加工を行なって、締め込むとるベットのお様な形状になるように、形状を模倣しました。

 

Hardy Per1fectリールはかなりアンティークな雰囲気がありますので、この雰囲気に合うように鹿角を加工して、象牙のような雰囲気に仕上げます。

このノブ加工に関しては、何度も加工を行なっている作業なので、取り立てて難しい作業ではありませんが、リールサイズが3-1/2程度あるので、少しサイズアップして加工することにしました。

CFOのクリッカーとバネについては、当方では加工できないので、既製品を購入いただくこととして、このクリッカーを固定しているリベット風にいかに加工するかに注力致しました。

形状を計測して、その形状を模倣して加工するわけなので、難しくはないのですが、取付穴φ2.4に対してネジ径がM2.0なので、リールの取付穴に対応する部分はφ2.4mmとして、正確に位置決めできるように配慮したりして自分なりに工夫して加工いたしました。

 

ということで、加工完了いたしました。

どうでしょうか?リベットに見えませんか?

私は結構いい感じに加工できたんじゃないかと自己満足なんですが.....。

 

今回のように初めての修理は修理加工なのか不可能なのか中々判断できないことが多いです。

現物を見て、計測して、色んな方法を考えて加工を進めて、思い通りにいった瞬間はかなり嬉しさがこみ上げてきます。

 

加工不可能と判断するのは簡単なんですが、そうするとその大切なリールは使われないまま、引き出しの奥へと追いやられるかもしれません。

 

どういう形であっても修理さえできれば現役復帰できますので、邪道な修理と揶揄されても救えるリールがあるのなら救いたいものです。

 

なんか有名なお医者さんのコメントのようにも聞こえますが、リールに関しては、お医者さんになれればいいなと感じています。

Perfectリールのノブはリール自体が醸し出す雰囲気を損なわないようにオーソドックスな形状に仕上げております。

鹿角のアイボリー色の落ち着いた雰囲気とリールのやれた雰囲気がマッチしていると思います。

 

鹿角や象牙等は水分により膨張したりしますので、長時間水に浸っていたりすると、ノブを回す時に抵抗を感じたりすることがあります。

これは、金属製のネジの熱膨張に起因する伸縮よりもノブ自体が水分や熱膨張にょり伸縮する量がはるかに大きいために生じるものです。

 

Retro Rod&Reelの作製するノブは、メタルコアと言うパーツでノブの回転する部分を構成しています。このメタルコアとネジは同一材料で構成しています。

そのメタルコアにノブを挿入して接着する方式を採用しています。

 

これにより、ノブが伸縮しても回転に影響がなく、ノブの回転がきつくなったり、ガタついたりすることがありません。

同じ修理でも、本当に使いやすくするためにはどうあるべきかを考えて加工しています。

 

Retro Rod&Reelはリール修理の専門業者ではありません。

メーカーに修理不可能と言われたリールや、古くて部品調達できないリールを何とか救うべく修理を行ないますが、これはRetro Rod&Reelの加工技術や、人柄を見て頂く絶好の機会だと信じております。

 

1人で作業している都合上、すぐに対応できる場合や、他の加工が既に予定に組み込まれて、なかなか取り組めないこともございます。

いくら時間がかかってもいいから何とかこのリールを甦らせたい!そんな思いのお手伝いが出来ればと考えております