
Hardy Flyweightのフレーム修理を公表してから修理に到着したリール達の中で、フレーム修理2台がありました。
どちらもHardy Featherweightです。
早速各部の寸法計測を行います。
Flyweightは外径65.1mm程度に対してFeatherweightは外径73.3mmであり、手持ち材料がφ70の次はφ80なので、材料取りが中々大変です。
また、円板状の材料から90%はゴミ箱行きとなってしまうので、材料効率は良くない加工になっています。
さて、材料の厚み調整加工、外形加工、内径加工、リム形状へのNC加工、裏面の位置決め用ドリル穴加工、研磨加工と順に進めていきます。
リール本体は骨折部分のフレーム除去加工、位置決め用ドリル穴加工と進めていきます。
1回目のフレーム除去加工は凄く緊張しましたが、慣れとは怖いもので、旋盤にリールのフレームをチャックして、事務的に除去加工している自分がいます。
ところで、このHardyリールの骨折が多いのには何か理由があるのでしょうか?
有名メーカーの売れ筋ラインナップなので、保有台数が多いから骨折台数が多いだけなのでしょうか?
このリールが鋳造なのかバーストックからの削り出しなのか判りませんが、雰囲気的に鋳造品のような気がします。
そう思う理由なのですが、各部の寸法計測でフレーム外径、内径を計測するときに、色んな箇所を計測しているのですが、計測部位によって寸法が0.2mm程度ずれているんです。
切削加工で加工した場合はそこまで寸法がズレることはないと思うのですが、
もしくは、骨折するぐらいの衝撃が加わっているので、その衝撃で寸法ずれになっているのかのしれませんが........。

と言うことで、研磨完了したリムをフレームに位置決めピンを利用して、圧入接着いたしました。
まあ、初めて加工した時ほどの感動がないのは仕方ありませんが、こうして安定して加工できるということは、加工方法としてある程度確立した工法であると言えると思います。
7月に入ってから、リールの修理ばっかりだったのですが、後1個のリール修理を終わらせれば、一段落するので、もう少し修理に集中したいと考えています。
このリムの加工ですが、リムの肉厚が3.1mm程度しかないので、旋盤の主軸へのチャック方法など結構気を遣うのです。チャックの爪からリムが少しだけ飛び出すように、スペーサーを別途加工したり、フレームにリムを加圧接着する際に、旋盤にチャックして芯押し台で加圧するための治具を作製したりと、実際の加工以外で時間の掛かる作業も多かったのですが、なんとか修理できる体制が整いました。
実際にはリム形状を加工するためには図面作製して、加工プログラムの作製、加工となり、それなりの時間がかかってしまいます。
今までは、加工費として、実際の加工時間と材料費から算出しておりましたが、各部寸法計測時間、図面作製時間についても加工費に計上していこうと思います。
世の中色んなものが値上がりしていますが出来るだけ、良心的な価格設定にしたいと思います。
ラインを巻いているFeatherweightは以前ハンドルノブを交換したことがあるリールなのですが、その後アクシデントによりフレームの骨折となり、今回の修理となりました。
お気に入りのリールを何とかして修理したいとの思いで連絡を頂き、その期待に応えられてよかったと思います。
さて、もう一つ重症のリールが控えていますので、次回はその修理内容についてお話したいと思います。