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Seamaster 右巻き(RH)対応

Seamasterリールの左巻きハンドルを右巻き仕様に変更したいとの依頼がありました。

渓流でのフライフィッシングしかしたことのない私には聞き覚えの無いリールで興味津々。

非常にシンプルな外見と構造です。

 

依頼者によりますと右巻き用のParts Assyがもうないとのことで、私のところに依頼したとのことでした。

 

加工できるのかどうかわからないままリールを送付いただきました。

ついでにと言うことでORVIS CFO ⅤDISCのクリック修理も依頼されました。

 

 

内部構造は至ってシンプル

この写真の場合リールを左巻きで巻いた状態はギヤが回転しラチェット音を奏でながら回転します。

逆転時はギヤがストップしギヤに貼り付けられたコルクとスプールとの摩擦によってドラグが発生します。

 

リール本体裏面のドラグ調整ノブを回すと、、スプールが引っ張られて、スプールとコルクとの摩擦抵抗が増大してブレーキがきつくなる構造です。

 

右巻き仕様にするには、1方向の回転ギヤの回転方向を逆回転方向にすればよいので

単純にはコルクを剥がして、ギヤを反転させ、コルクを接着しなおせばいいはずで、クリックも反転させれば良いだけだと思っていました。

 

しなしながら、このオイルが染み込んだコルクを綺麗にはがして再利用できるのだろうか?と考えていたら、後々左巻きに戻せるようにしたいとのことで、結局新たに加工することになりました。

クリックは反転できるかもと考えていましたがクリックネジが座グリ部分に収まっており、反転すると座グリがないためこれも作る必要があります。

 

言い換えれば、ギヤの両面にコルクを張っておき、クリックパーツも両面に座グリ穴を設けた形状にしておけべ、別途RH Assyなどを購入しなくても簡単にハンドル方向の変換ができる構成にすることができるのです。

メーカー側も百も承知でそういう構成にしなかったのであれば残念です。

ギヤの形状、クリッカーの形状を計測して加工します。

ギヤは外径47mmで厚みが1.6mmほどです。

そんな都合の良い材料があるわけもなく、φ70mm 厚さ5mmの板材を切削加工して作製するんですが、厚さ1.6mmとなると旋盤の主軸での掴み代が1.5mm程度以下なので、加工中にチャックが外れて材料が飛んでくるんじゃないかとヒヤヒヤしながら加工しました。

 

コルクはテープ付きのコルクをハサミで切って、貼り付けて、接着剤で補強しました。

クリッカーも座グリ加工したものを作製し取り付けてみました。

 

CFOのクリッカーも作製し、両方のリールを組み上げてハンドルを回した時のクリック音は格別です。