7月の仕事内容を思い返すとリールの修理に明け暮れていたように思います。
10台以上のリールを修理してまたオーナーとの新たな思い出を刻んでくれると思うと嬉しい限りです。
リールが復活するということは、途切れかけた歴史が復活すると言う事。
机の中、棚の隅で役に立てなくなったリールがあれば復活させることが出来ると思います。
さて、リールの修理と言うのは儲からない仕事で、値段設定が高いと修理せずに同じ型の中古リールをフリマサイトで買うからいいや!と思われる方もいます。
時間給で仕事しているのであれば、修理時間がこれだけなので、これだけ請求いたします。となるんですが、そうなると結構な修理金額になってしまい、誰も修理しなくなってしまいそう。
だから修理の価格設定というのは難しいんです。
リールの修理で儲けようとは思いませんが、せめて生活できるレベルの修理代を頂けるようにしていきたいものです。
さて、7月にリール修理以外にどんな仕事をしていたかと言うと、リールシートフィラーの加工を行なっていました。
結構まとまった数の加工とコーティングを行なっており、案外時間がかかってしまうのです。
偏芯加工までは自作の偏芯治具のおかげで安定した加工が出来ます。
問題はコーティングです。
今までは、偏芯加工後に軽くサンディングして納品していましたが、今回はコーティングまで行って納品なのでコーティングの時間が読めません。
まず、10回程度コーティングします。
コーティングは市販の1液性ウレタンを使用しています。
これはどこのホームセンターでも簡単に手に入る樹脂なので入手困難になることが無いために選定しています。
ロッドのコーティングも同じ樹脂を使用しています。
10回コーティングするだけでも5日程度の時間がかかります。
コーティング後は#800程度で水研ぎして、徐々に番手を上げて#1500程度まで研磨します。
これは、表面の僅かな凹凸を均すためと、場所により樹脂の浸み込み方に差があるために研磨を行なっています。
表面を均したら再度コーティングを5~6回行い水研ぎを繰り返します。
今回は更にもう数回コーティングを繰り返しました。
コーティング後は、表面を#1500程度でサンディングして、ダスト等の付着物を除去して、艶出し研磨を行っていきます。
#4000、#8000、#12000、それ以上まで研磨しつやを確認します。
細かな凹凸がなくコーティングされているとライトの光に反射させても綺麗な輝きを放ちます。
このコーティングは使用する木材によって染み込み方に差があったり、偏芯加工時にムシレや細かな凹凸の多い材料などがあります、
瘤材はムシレが少ないので加工しやすいのですが、樹脂の浸み込みムラは多いような気がします。
コーティング後は長さを調整して、チェック部分の加工を行ない、加工部に再度コーティングして、金具を接着して完成です。
コーティングも時間を掛け、手間をかけることで、一目見ただけで輝きの違いが判ります。
簡単そうなプロセスですが、奥が深いのがコーティングですね。
他にもバンブーロッドの加工も開始しております。
それはまた次回にでもお話したいと思います。