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Hardy UNIQUA 2 7/8 修理

8月になり、バンブーロッドの方の納期に向けて、仕上げ削りを始めていたところ、リール修理の依頼が飛び込んできました。

8月から現時点で5台の修理が入ってきております。

 

今回はHardy UNIQUAの修理です。私ハーディー好きなんですが、そこまで詳しくはないんです。ユニーカのこれはホースラッチに分類されるものだとは思うんですが、その程度の知識です。

 

私のブログに登場するリールに関しては、修理に関する打ち合わせ時に、修理内容をブログやSNS等に投稿しても良いですか?とオーナーに了承を得たものを掲載しておりますので....。

 

さて、このユニーカ 2 7/8は2つの症状があります。

① ノブがうまく回転しない

② スプールの回転時に異音がしてスムーズに回転しない

とのことでした。

①のノブに関しては写真のようにノブにひび割れが生じこのひびによりノブが膨張して干渉するようになったと推測します。

ノブ交換で対応です。

ハーディーのノブはスリワリネジ加工されていないため、自分でメンテナンスできないため今まで修理したハーディーのノブは全てグリースが枯渇している状態でした。

 

 

②スプールの回転がスムーズではないとのことで、回してみるとシャリシャリと干渉している音がします。

この場合はどこが干渉しているのか。フレームとスプールを確認しますが、いまいちよくわかりません。

そこで、スプールの外周にマジックを塗って、スプールを嵌め込んで、回転させ、シャリシャリさせた後にマジック部分を観察したところ、表スプールの一部と、リヤスプールの一部がフレームに干渉していました。

 

原因はフレームのセンターシャフト径6.47mmに対して、スプール穴径6.65mm程度とガタツキがありました。

このガタツキを修正しようとした場合、肉厚0.09mm以下のパイプをシャフトに装着しなければなりません。これは加工中に変形して加工できません。

 

そこで、シャフト下部の一段太い部分の径を計測すると8.9mm

スプールのギヤ部の内径を計測すると8.0mmでした。

この部分にガタツキを抑えるためのスリーブを挿入すればガタツキが抑えられるかもしれません。

肉厚0.45mmならば問題なく加工できそうなので、写真にあるスリーブを加工して装着してみると、ガタツキはかなり抑えられましたが、まだ干渉音がしています。

スプールを旋盤に固定して、干渉部分をほんの少し切削加工していきます。

表スプール、裏スプールと慎重に切削しては干渉音を確認の繰り返しでようやく干渉音がしない状態のできました。

 

 

ノブは鹿角とのご指定でしたので、クラシカルな感じに仕上げました。

アイボリーの鹿角は、象牙だと言えば納得してしまいそうな感じです。

 

交換したノブはメタルコアを介在させた構成であり、メタルコアはスリワリネジと同一材料で構成していますので、温度変化に対しても寸法変化がなく、水分により膨張する鹿角の影響を排除する構成になっています。

また、スリワリネジを形成しているので、グリース不足と感じた際には自分でメンテナンスできる構成にしています。古いリールだからこそ、メンテナンスして、大切に使っていただきたいものです。

 

当初はまともに回転できない状態だったリールでしたが、心地よいクリック音を奏でております。

 

残りのリールも順次修理していきます。