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プレーニングフォーム

今回はプレーニングフォームについてお話したいと思います。

バンブーロッドを作製するためには必ずお世話になるものです。

私も1999年にプレーニングフォームやプレーン等々を購入し、バンブーロッドビルディングをはじめました。

 

最近では、どんな情報もネットで参照することができ、誰でも道具を揃えれば、バンブーロッドを作製することができる環境になってきました。

 

何本か作製した後、販売している人もいるようで、自称プロと言う人も結構いると思います。

各SNSを見ていると、バンブーロッドを作製していますと言う、加工プロセスの写真を掲載しているビルダーも多くいるのですが、中には、首をかしげたくなるプロセスを掲載しているビルダーさんもいるようです。

 

まず、仕上げ削りでプレーニングフォームから竹辺が大きく浮いているものをよく見かけます。

これは、「私は曲がり直しも満足にできていないビルダーです」と言っているようなもの。

 

結構恥ずかしい事なので、曲がり直しは時間がかかっても、しんどくても、丁寧にやりましょう。

これは以前から言っていることなので、これ以上のことは言いません。

 

 

最近気になっているのは、プレーニングフォームにブロックを2つ敷いて、プレーニングフォームを2点支持で浮かせた状態で使用しているビルダーを見かけます。

 

カンナくず等がフォームより下に落ちるので、都合が良いからなのか判りませんが、このような使用はお勧めいたしません。

 

プレーニングフォームは鉄製、またはステンレス製等がありますが、サイズ的には20mm×20mm×1560mmの直方体を2つピンで固定して、この2つの直方体の合わせ部分にV字の溝加工を行なっており、この開閉幅を調整してテーパーを作製すると言ったものです。

 

では、なぜ、ブロック等で浮かせると良くないのか?

答えは簡単です。

タワムノデス。

 

写真はプレーニングフォームの下に木製のブロックを敷いています。

判り易くするためにブロック間距離を1000mmにしています。

 

プレーニングフォームを2点支持で浮かせている人は実際はもっとブロックの間隔を広げているようなので、たわみ量はもっと大きくなります。

 

では、実際にどの程度たわむの?

と思うでしょうから簡単な実験をしました。

1000mm離して2点支持状態のプレーニングフォームの中央部分にダイヤルゲージをセットして、プレーニングフォーム表面のたわみを計測します。

 

実際に竹辺を削るときには結構プレーンを押さえながら鉋掛けしていますので、大体の荷重として人差し指でグッと押し込んだ程度の力でどの程度プレーニングフォームがたわむのか計測しました。

どの程度たわむと想像しますか?

 

実際にはこのダイヤルゲージが1回転しました。

と言うことは2mmたわむのです。

結構すごいでしょ!

実際はもっと力を入れてプレーンを押している可能性が高いです。

この2mmにたわみによりプレーニングフォームはR形状になります。

Rはおおよそ65mぐらいになります。

 

加工中に2mmたわむとどうなるか?

プレーンの長さは約160mmです。

 

R65mのプレーニングフォームに160mmの直線のプレーンを載せるとプレーンの真ん中80mmの部分ではプレーンとプレーニングフォームとの間にどの程度の隙間ができるでしょうか?

 

私は頭が悪いので、計算で導き出すことが出来なかったので、図面を書いて隙間を計測する手法で導き出しました。

答えは0.05mmです。

 

1mの間隔でブロックを支持している状態でこの数字です。

たわみは距離に比例します。

 

どうでしょう。

私的には驚愕の数字です。

 

プレーニングフォームを浮かして使っているビルダーさんを見かけたら、どの程度たわむことを想定しているのか聞いてみてください。

悪気はなくても知らず知らずのうちに精度を落とすことをやってしまっていることに気づかない。

 

これは、疑問を持って作業していない事の裏付けなのです。

ロッドがしなるようにプレーニングフォームもしなります。

材料、寸法が異なれど、しなります。

当たり前のことですよね!

 

我流でやるのは良いのですが、一番大切な精度を落としていることに気づかないのは不幸ですし、今まで積み上げてきたテーパーデーターがあまりあてにならないことも不幸です。

 

常に疑問を持ちながら、各プロセスを再確認することも大事です。

人から指摘されるのを嫌がるビルダーさんは多いです。プライドが高いのか何なのか知りませんが、常に謙虚で周りの声に耳を傾けることのできるビルダーさんのロッドを使用したいものです。