グラスロッドのスピゴットフェルールのFemale側は高負荷がかかったり、はめ合わせが緩かったりした場合にグラスファイバーが断裂し、口割れが生じることもあります。
ラッピングの際には口割れ防止にためにFemale端面ぎりぎりまでラッピングして補強しているのですが、それでも急激な衝撃が加わった場合には口割れが生じます。
急激な衝撃の一番多いのは転んだ際にロッドを打ち付けてしまう場合が多いと思います。
転びそうになったらロッドを持った手を放す習慣を身につけていても、とっさの場合には手を放す前に転んでしまうこともあります。
このような衝撃による口割れを少しでも防止するために、口割れ防止金具をFemale端面ぎりぎりに接着して端面部分を補強するようにしています。
口割れ防止金具は判り易いネーミングですが、もう少しスマートなネーミングにしたいものです。
さて、この口割れ防止金具はブランク径を計測して旋盤で加工していきます。
ニッケルシルバーで加工しております。
サイズの合うドリルがあれば問題ないのですが、必要サイズがない場合は中ぐりバイトで内径加工してフィットさせます。
外形はあまり大きすぎるとフライラインとの接触等も懸念させるため、余り太くはしておりません。
外形加工後に突っ切り加工して分断するのですが、分断後に個別に研磨して見栄えを良くしています。
このような小さなパーツの研磨はなかなか難しいのですが、黒染めするには地肌を綺麗にした状態で黒染めしたいので、少し面倒ですが、丁寧に研磨しております。
今回はリールシート金具も黒染め希望とのことなので、この口割れ防止金具も黒染めを行ないました。
黒染めは以前はアオバ502を使用しておりましたが、手に入らなくなり、またこの黒染め液自体が劇薬扱いになっており、購入が少し手間になっております。
余り他の黒染め液の事はよくわからないのですが、種類によっては染ムラがでたり、表面がザラついたりするようです。
なのでアオバ502の液体色に似た黒染め液を探し求めて使用しております。
私が作製するバンブーロッドは基本的には黒染めの金具類が標準なので、スネークガイド類はブラックタイプのワングステンファインワイヤーを使用することが多いです。
ストリッピングガイドに関しては様々なんですが、出来るだけ黒いストリッピングガイドを使用しております。
ミルドラムのストリッピングガイドは最近非常に高価になってしまっているんですが、バンブーロッドにはよく似合います。
ミルドラムのストリッピングガイドは購入時はフット長が長いので、カットしてフットの形状を修正して、全体を研磨したのちに黒染め液で黒染めしています。
通常のニッケルシルバーよりも少し長い時間液中に浸すことで綺麗に染色できるようです。
ラッピングスレッドがスムーズにフットに乗り上げるように奇麗なテーパーになるようにヤスリがけを行ない、#1000、#2000程度のペーパーで磨いて、更に高番手の研磨材で磨いて光沢を出しております。
ストリッピングガイドは綺麗に研磨しても問題ないのですが、スネークガイドはあまり綺麗に研磨するとガイドに負荷がかかった際にガイドが変形してラッピングスレッドから外れてしまうこともあるようです。
ですから、スレッドをエポキシでコーティングする際にスレッドとスネークガイドの足の引っ掛かりが少しあるようにしたほうが滑りにくく、また、エポキシの密着強度が向上します。
いわいるアンカー効果と言うやつですね!
スネークガイドは#2000程度の研磨で止めています。
これは太軸のスネークガイドの際にはあまり問題ないかもしれませんが、ファインワイヤーの場合は効果があると思います。
黒染めも案外奥が深い世界なのかもしれません。