Retro RodのグラスロッドG-Glassの7'00"と7'03"の#3 6pcsのラッピングが終了し、本日発送いたしました。
7'00"はラッピングスレッドはホワイトの指定で、スケルトンにしたいとのことでした。
7'03"はライトオリーブのスレッドでのラッピングを希望されておりました。
ラッピングは、自作のラッピングベンチを使用しているんですが、今までは立った状態でラッピングを行っていたのですが、椅子を変更して、高さ調整ができるようになり、座った状態でラッピングできるようになりました。
これがすこぶる快適で、作業環境の改善が出来ております。
ラッピングの後は以前であれば、エポキシコーティング、ウレタンコーティングを行っていたのですが、ウレタンのコーティング剤が入手できない状態が続いたため、ウレタンコーティングなしのプロセスに変更いたしました。
長年採用していたプロセスを変更するのは案外大変で、事前にテスト試作をして、プロセス確立が必要なのです。
エポキシは3回コーティングを行ないます。
1回目はスレッドに染み込ませるのですが、薄め液でエポキシを希釈して、浸透性を高めてコーティングを行ないます。
2回目は希釈を少し少なくしてロッドモーターで回転させながらスレッドからはみ出さないようにコーティングを行ないます。
2回目のエポキシ硬化後にデザインナイフでエポキシ表面の僅かな凹凸を削るようにしています。
3回目のコーティングは2回目と同様の希釈でコーティングして完成です。
3回のエポキシコーティングにする理由は一度に塗るエポキシ量を出来るだけ抑えて、エポキシの盛り上がりを無くして、均一にコーティングするためです。
スケルトンにする際には、1回目のコーティングを染み込ませる+α程度にエポキシコートすることをお勧めいたします。
エポキシを希釈すると当然ながら硬化時に希釈の薄め液は揮発してスレッドを完全にコーティングできない状態となりコーティング不足の部分がスケルトンにならない場合があるためです。
このエポキシコーティングを3回行うと硬化時間にもよりますが、2日程度の時間を要します。
安物のロッドや海外のロッドではこのコーティングを1回で完了させるためにたっぷりのエポキシでコーティングするためにコーティング厚が均一にはならずにスレッド中央部が盛り上がったサツマイモのような形状になります。
製作効率重視のロッドではなので、出来るだけ綺麗に仕上げたい思いから3回に分けてコーティングを行っています。
ライトオリーブで巻いたロッドの方は僅かに色の出た感じになりますが、ブラウンのブランクには程よい色合いになっています。
効率UPは必要なのですが、リードタイム短縮のために綺麗ではなくなるロッドづくりになるのであれば本末転倒で、時間を掛けてでもやらないといけない工程と言うのはあると思います。
効率重視でさつま芋のようなスレッドコーティングされたロッドに魅力を感じると思いますか?
リールに加工に関しても同様です。研磨に手を抜いて少し雑な研磨をして時間短縮したリールに魅力はありません。
効率アップは目に見えない部分で行うべきなのです。
例えば、接着剤の硬化時間短縮、コーティングの硬化時間短縮のために室温をコントロールするとか、リールの加工では設計の効率アップを図ったり、材料の粗加工を空き時間にやってストックしておいたりすること等々
細かなことに配慮することが魅力につながるのだと信じて、今日も地味な加工を進めております。
Glassロッド、バンブーロッドの値段の見直しも来年早々行う予定です。
これは、グラスロッドの場合はブランク価格の高騰、ガイド類の高騰、コルクの高騰で、
バンブーロッドの場合はトンキンケーンの高騰、ガイド類の高騰、コルクの高騰、ニッケルシルバーの高騰等々によるものです。
手を抜いて価格維持する意味はありません。
価格は見直ししますが、手を抜かず丁寧なモノづくりを進めていきます。