Short Bamboo Rodの製作依頼があり、作業を進めております。
今回は真竹を使用して、Short Rodでありながらもピンピンのアクションではなく、粘りのあるアクションを目指しています。
さて、Short Rodとはどの程度の長さを指すものかと言うのは人それぞれで、バンブーロッドの場合、7f以下をShort Rodと呼ぶ人もいれば、6’06”以下をShort Rodと呼ぶ人もいます。
今回は6’00”を予定していますので、Short Rodと呼んで問題ないでしょう。
製作依頼があったと言いましたが、その依頼者はまず最初にFairy Reelに興味を持ったようで、このFairy Reelに合うバンブーロッドを作製する予定があると伝えると、是非欲しいとの事でした。
折角なので、6’00”の2pcsと3pcsを作製しようと目論んでいます。
曲がり直し作業は案外集中力を要する作業なので、一気に作業を進めると苦痛を伴う作業になってしまいます。
2pcsと3pcsなので、計30本の曲がり直しが必要になりますが6本/日程度の作業に抑えることで、苦痛な作業にすることなく、丁寧に作業を進めることができます。
バンブーロッドの加工プロセスでは、六角形のブランクスを作製するまでのプロセスとラッピング以降のプロセスとでは大きく加工の雰囲気が異なり、六角形のブランクスを作製するまでのプロセスは「動」で、ラッピング以降のプロセスは「静」と言えるのかもしれません。
竹割り⇒曲がり直し⇒荒削り⇒火入れ⇒スクレッピング⇒仕上げ削り⇒仕上げ削り⇒接着
「動」のプロセスは大きく分けると上記のようになりますが、ここまでの作業プロセスは最後の接着プロセス以外は途中の作業結果がロッドに現れることがありません。
極端な言い方をすれば、どのようなプロセスを経たとしても最後の接着が上手くいけばそれなりのロッドの見えてしまう訳です。
また、ロッドアクションを決定づけるテーパーについては過去のビルダーが残したテーパーを参照すればそれなりのアクションを作り出すことができるのです。
道具さえそろっていれば誰でも比較的簡単にバンブーロッドを作製することは可能です。
なのですが、その誰かのテーパー通りに作製したロッドのアクションをもっと自分好みにするにはどの部分のテーパーをどの程度調整すれば良いかと言う数値をフィードバックするようにいなるにはそれなりの本数を作製してデータを蓄積していかなければなりません。
バンブーロッドビルディングをパワーゲームと勘違いしている人は、ミリングマシーンを導入して、テーパーソフトを購入してそれらしいロッドを作っているようですが、レシピの蓄積は一朝一夕ではできないのです。
「動」のプロセスの見えない部分の作業が実は非常に大切で、「次工程はお客様」と言う意識を持って作業を行うようにしています。
竹割り⇒曲がり直し⇒荒削り⇒火入れ⇒スクレッピング⇒仕上げ削り⇒仕上げ削り⇒接着
ここまでの工程で8工程あります。
各工程の歩留まりと言うか満足度を各工程で95%だとすると66%の満足度のブランクスになってしまうのです。
プロセスが多い分だけ各プロセスをしっかりと加工する必要が非常にい大事なのです。
更に「静」のプロセスに関しては、作業内容がバンブーロッドの表面に作業結果として明確に表れてきます。
ロッドを見ただけでビルダーの性格が見て取れると思います。
ビルディングを続けてくると各プロセスに作業を短時間でこなせると思われるようですが、熟練するにつれて今まで気づかない部分まで目が行って、細部まで気になってしまい結果として作業時間が短時間化されることはなく、更なる職人への道へと足を踏み入れるようになっているようです。
私の尊敬するビルダーさんの作品はため息が出るほどです。
まだまだ私は全然追いつけないのですが、低いハードルを簡単に超えていくようなビルダーにはなりたくありません。
1999年から時間は経過しておりますが、まだまだ毎日習得することがたくさんあり、色んな事を多くの引き出しに蓄えながら技術力を高めていきたいと思います。
本日無事に接着完了してこのブログを書いております。