ロッドやリールの加工をやっていると各工程での良否判定を行い、次の工程へ進めるのかやり直すのか、NGにするのかと言う判断を行ないます。
バンブーロッドやリールの加工工程は多いので、各工程での歩留まりが最終歩留まりに大きく影響してしまいます。
仮に10工程で、それぞれの工程の歩留まりが99%だとしても最終歩留まりは90%になります。
歩留まりが98%なら最終的に82%と言った具合に歩留まりが低下してしまいます。
ではどうしたら歩留まりを向上できるか?
歩留まり低下要因を抽出して対策を講じる。とか不慣れな工程を反芻して熟練するとか、どこの企業でも同じようなことをやっていると思います。
それ以外にミスをリカバーする技術があれば、ミスがミスではなくなります。
でも一番簡単なのは各工程での良否判定を甘くすることなのです。
こうすればいつでも理想的な歩留まりを維持することや、納期を守ることができるのです。
個人事業主であるビルダーは判断基準に基づいて良否判定を行いますが、それは個人の物差しでの判断でしかないのです。
仮に写真の状態でバンブーロッドを接着した場合、接着面にカンナくずを巻き込んでグルーライン(接着層の厚み)が一部厚くなってしまいます。
このグルーラインの不均一部分をみて、OKと判断するのか、と判断するのかはビルダーの個人的見解次第なのです。
この個人的見解はビルダーの性格、力量によって違いがあるようです。
最終的には個人で判断するしかありませんが、私のスタンスは、これを私が購入したらどう思うか?で判断しています。
私が購入したロッドがグルーラインの不均一なロッドだった場合、がっかりします。ビルダーに失望します。
簡単に言ってしまえばお客様目線で判断できているかどうかが大事なのですが、SNSの投稿で中には妥協点の低いビルダーさんが存在するのも確かなのです。
投稿を見ると自信ありげな投稿が並んでおり、その自信はどこから来るの?と問いかけてみたくなります。
良く人間は4パターンに例えられます。
・有言実行タイプ
・無言実行タイプ
・有言不実行タイプ
・無言不実行タイプ
私自身を自己分析すると多分、無言実行タイプであろうと思います。
声を上げて主張こそしませんが、コツコツと継続して積み重ねていくタイプです。
私の性格を客観的に知ることが出来た出来事があります。
それは、もうかなり前の事なのですが、ある方に源流釣行に連れて行ってもらったのです。
そこは車を止めてから、林道らしき道はなく、川通しで歩かなければならず、最後のポイントから車まで3時間近くかかるような場所なのです。
初めてなので、あとどれくらいの距離があるのかとか、どれだけヘビーな巻きがあるのか想像もできなかったため車に戻った時には疲労困憊でしばらくは座り込んだままの状態でした。
釣りの方は良かったと思います。
その疲労困憊しているときに思ったことは、「初めてで疲れたけど、毎週通ったら慣れてくるだろう」と思ったのです。
コツコツと継続する性格と言うのは間違っていないと思っています。
さて、自分の仕事のハードルを低く設定しているビルダーは、目立ちたがり屋が多いようで、人の目を引くロッドに走りがちです。
また、ロッドのアクションについて色々とむづかしい事を言う傾向にあるのですが、その割にキャスティングがイマイチだったりします。
そのキャスティングで何を語るの?と言いたくなりますが、もちろん言いません。
私は言葉を並べてキャスティングを語るのは、難しいので、判り易い言葉で説明しようと思っています。
私のロッドはショートキャストでもゆったりとキャスティングできて、ロッドの復元力でショートレンジでもピンポイントにフライをプレゼンテーションすることができます。
ミドルレンジになるとロッドが結構曲がるので、しっかりとロッドが復元するまでロッドを止めた状態で待つことができるある程度ベテランのフライマンに適したロッドです。
外観的には何も特徴のないロッドです。
ロッドづくりでは、完全なストレートテーパー(5インチ毎に一定量の変化)のロッドを作製してその時のロッドのアクションを基に自分の好きなアクションにするためのテーパーへと落とし込んでいます。
また、素材(トンキン、真竹。女竹)に居よるアクションの違いを確認し、アクションごとに最適な素材を選定しております。
中空や、竹フェルールなどにしなくとも、素材の特性を吟味して、テーパーを調整してやれば、中空ロッドみたいにたやすく折れたり、竹フェルールのように精度の出ない加工をすることなく、信頼性の高い手法でお好みのアクションを作りあげていきます。
自分では正統派だと思っていますが、なかなか日が当たりませんね(笑)