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ピラーの加工

ピラーとは柱のことで、フレーム同士を繋ぐ重要なパーツなのです。

特に私の加工するレイズドピラーのリールはこのピラー部分の盛り上がり部分が特徴的なので、ピラーにはこだわりがあります。

 

こだわらなければ、単に円筒状のパーツでいいわけなのです。

円筒状のピラーを採用しているメーカーもたくさんあります。

安い材料で加工しているメーカーーもたくさんあります。

 

私の加工するピラーは段付きタイプのピラーです。

材質はニッケルシルバーを採用しています。

 

段付きピラーは円筒状ピラーと比較すれば手を掛けていることが良くわかりますし、リール全体の引き締め効果があるのです。

 

また、ニッケルシルバーは磨き上げると輝きが良く、この輝きが欲しいためにアルミではなく、真鍮でもなく、ニッケルシルバーを採用しているのです。

 

写真は機械加工直後なので、まだ光沢が少ないのですが、このひと手間かけたピラーはお気に入りの形状です。

 

段付き加工を行なうと、円筒状のピラーに比較して、加工工程が増えます。

また、研磨も段差があると大変になってきます。

 

バンブーロッドを作製し始めて、少し経ったときに、私の師匠が言った言葉があります。

「目に見えるところに手を抜かない事」

この言葉は師匠が何気ない時に言った言葉で、バンブーロッドは敷居の高いフライショップのガラスのショーケースに鎮座しているもので、ガラス越しに眺めて見ることが多く、そんなバンブーロッドではアクションの良し悪しなどガラス越しからは判るはずもありませんが、寧寧な仕事ぶりはロッドを見ただけで判るものです。

 

例えば、ガイドフットの処理は、購入したままなのか、フットをヤスリで処理しているのかは一目瞭然です。

他にもガイドスレッド部分のエポキシコーティングがスレッドぎりぎりに綺麗にコーティングされているのか、スレッドから大きくはみ出してコーティングされているのか、等々見ただけで作者の人柄が垣間見えるのです。

 

これは、手作りしているものであればどんなものでも同じことだと思うのです。

リールでもピラーの形状はどうなっているのか、とかハンドルノブの研磨は丁寧にされているかとか、目で見ただけで作者の性格まで見えてしまうものなのです。

 

私の作るリールは、素材を大切にしています。

アルマイトなどの表面処理を行うと、傷ついた時に自分で修復することができないので、それが嫌なのです。

素材を研磨しただけならば、再研磨するなどすれば復活させることができるのです。

 

最近では大陸性のリールが非常に安価に売られています。

それで満足するのであればそれまでなのですが、自分の足で、ヤマメ、アマゴ、イワナを釣って、日本の渓流に合うロッドやリールを試行錯誤しながら作り上げたモノの方が満足度が高いと思うのは自分だけなのでしょうか?

 

最近SNSでその大陸性のリールの投稿に対して、コメントがあり、修理のためにメールしても全然対応してくれないと言うものでした。

言葉の壁なのか、国民性なのか、人柄なのかは判りませんが、修理はすぐに対応すべき案件なんですけどね!

また、トラブル時に海外まで発送するのは大変ですね!

 

私はリールを販売していますが、リールの修理もやっています。

それは、リールの修理を通じて私の技術力をアピールしたいからです。

使えないリールが1つでも減ることがリール屋の仕事でもあると考えています。

 

リールには人柄が出ます。

期待をほんの少しでも超えるようなリールを作りたいと常に思っています。