最近は円安の影響で日本国内の物価上昇が著しく、コロナ化が開けたと思うと同時に日本は途上国に逆戻りしたような感じになっています。
日本の安い物価目的でインバウンドの旅行者は増えていますが、コロナ前の爆買いから少し様子が変わって、より日本の文化に触れたり、おいしいものを食べたりと、モノからコトへと変化しているように感じます。
1ドルが100円から150円に変わることで、今まで8000ドルだったリールが5333ドルで購入できるようになったわけです。
当然国内メーカーである私どもは海外に目を向けていく必要があるのは明らかで、以前よりも海外への発送数も増えたのは確かです。
EMSでの発送も最初はかなり戸惑いましたが、今では結構サクッと送れるようになりました。
これを逆の立場に置き換えてみましょう。
1ドル150円が一気に100円となり、今まで9万円だった海外のロッドが6万円になったと考えた場合、購入意欲が湧いてくると思うのです。
これは自然な流れなんですが、
では、これが海外のリールで、1人の職人が作っていたリールだったとしましょう。
そのリールが33%引きで購入できるのは嬉しいけど、本当に安心して取引できるんだろうか?とか、故障した場合の補償であったり、修理を考えて、購入を躊躇することも考えられるのではないかと思うのです。
私個人で考えても、日本国内に代理店等があるなら別ですが、一個人との取引は結構勇気がいると思うのです。
海外から、私のロッドやリールを購入してくれているフライマンはそういった不安材料がありながらも購入すると判断したのには何か購入を決断させる大きな要因があったに違いありません。
自分自身で過去の海外との取引を考えてみた時に購入を決断させた要因分析を行ってみました。
要因は大きく3つあると思っています。
まず1つは、ホームページや各種SNSで商品をしっかりとアピールしていること。
これにより、購入者は欲しい情報を得ることができます。
また、ホームページ上で海外発送もするということを確認できると思うのです。
2つ目は、唯一無二の商品であること。
他に類を見ない商品であれば、それを買うしかないわけで、圧倒的なクオリティーを写真を見ただけでも判断できるような商品作りを行なっていることだと思います。
3つ目は、購入したいと思った海外のフライマンから、まず、DMかメールが来ます。
そのメールに対して、迅速に、丁寧に対応している点だと思います。
時差に関係もあるので、即座にと言う訳にはいきませんが、可能な限り、欲しいと思う情報を的確に返事するのが良いと思っています。
購入に至るまで、何十回もやり取りをしています。
そのやりとりを通じて相手は私の人となりを想像し、信用できる人間かどうかを判断しているのだと思うのです。
私は英語が苦手です。
苦手ですが、フライ用語にい関しては英語でも大体雰囲気は理解できます。
ですから、こちらからの返事に関しては、英訳して、その英語をもう一度日本語訳して、意味が通じるかを確認して送付するようにしています。
こうやって振り返ってみても、どれも当たり前の事なんですよね!
当たり前のことを当たり前のようにする。
出来るだけ情報発信する。
唯一無二のモノづくりを心掛ける。
そうすることで多分相手側は日本人の親切丁寧さを理解して、信頼できるやつ!と判断していただけるのではないかと考えています。
商品を見ると作者の性格が判ります。
特にバンブーロッドやリールはその商品から垣間見える仕事ぶりで作者のこだわりであったり、丁寧さを見ることができるのです。
今から20年以上前に私が師匠と慕っているとあるビルダーさんの言葉があります。
「見える部分に手を抜くな!」です。
これは、見えている部分を手を抜かずに丁寧に作り上げている人は、見えない部分も手を抜かずやっている。
反対に、見えている部分でさえ手を抜くような人は、見えない部分は....。と言うことなのです。
バンブーロッドであれば、1か所のガイドラッピングを見ただけで、そのビルダーの性格を見抜くことができると思います。
ガイドフットの成形は丁寧にやっているか?
ラッピングは綺麗に行われているか?
コーティングは薄く何度もやっているか?
コーティングが大きくはみ出していないか?
等々を確認することで、そのビルダーは納得するまで丁寧に作業を行うような正確なのか、早く仕上げるために、それなりの仕事しかしていないのかぐらいは即座にわかってしまいます。
そのガイド部分を確認して、話をしてみると、丁寧な仕事をしているけれど、上から目線でモノを言う人なのか、紳士的な振る舞いをする人なのかもわかります。
有名ビルダーさんが気取らない優しい人である訳はそんなところにあるのかもしれませんね。
日本人の丁寧さ、親切さ、几帳面さ、礼儀正しさ、これらを兼ね備えたRod&Reelメーカーでありたいものです。
そして、Made in JAPANを世界に誇れるようにしたいと思っています。
日本の製造業は、アジア勢によって、肩身の狭い状況に追いやられていますが、何よりも信頼できるモノづくりを継続していけば誰かの目に留まるのだと信じて、今日も爪の中まで真っ黒にしながら機械を回しております。