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熱膨張のお話

私が加工するノブは3つのパーツにより構成されています。

① ノブ

② ネジ

③ メタルコア

一般のリールのノブはメタルコアがないものがほとんどです。

 

メタルコアはなんのために設けているのか?

それは熱膨張を一致させるためです。

 

物体は温度上昇により伸び、温度低下により縮みます。

物体ごとにその伸縮量は異なります。

ノブが回転するにはネジとノブとの間に僅かな隙間がなければなりません。

その隙間は一般的に0.05mm以下です。

 

 

実際の熱膨張率はエボナイトが80×10-6/k ニッケルシルバーが17×10-6/k程度なので差分は63×10-6/kとなります。

ノブの長さを18mmと仮定すると1℃当たり1.13×10-6/kの伸び量となり、0.05mmの隙間がなくなるには44℃の温度差になります。

室温20℃とすると64℃でノブは回らなくなるのです。

これは隙間が0.05mmの場合であり、この隙間が小さければもっと低温でも回らなくなるのです。

反対に低温側では隙間が広がり、ノブのガタツキとなるのです。

 

 

使用する材料によっても異なりますが、プラスチックなどはもっと熱膨張率が大きいので、更に低温でノブが回らなくなるのです。

また、鹿角等の熱膨張率は不明です。

このように温度変化によって隙間がばらつくのを何とかしたい。

 

そこで、メタルコアなのです。

メタルコアはネジと統一材料で構成されていますので、ネジとメタルコアとの隙間は温度が変化しても変わらないのです。

なので、温度変化に対して気を使うことなく、精度を維持することができるのです。

ほとんどのメーカーはメタルコアを採用していません。

それは部品点数が増え、コストアップになるのと、温度変化がそこまで影響しないと考えているからです。

 

でも、温度変化により、隙間が小さくなりすぎたり、反対にガタツキが大きくなるのっていやですよね!

あくまでも一定の精度を保つために多少コストアップは仕方がないと考えています。

もう一つ、メタルコアとノブとは異種材料で熱膨張差があるので、接着は弾性接着剤を使用して、接着剤の伸縮で熱膨張差に起因する伸縮を吸収するようにすることが肝要です。

 

なんせ、リールとは趣味の世界ですから。

趣味の世界とはとことん満足感を追求したくなる世界なのです。

 

自分の認めたモノたちに囲まれて釣りをしたい。

満足感とはそういうことだと思っています。