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HARDY St.George "3

HARDY St.George "3 の修理依頼がありました。

修理箇所は大きく2点ありまして、

1)ノブ付近のスプールが欠けている。

2)クリック部のカシメが外れている。

 

欠けた部分は接着剤で固められて、使用できる状態にはなっていますが、修理したいとの依頼です。

 

まず、エポキシ接着剤を取り除いていきます。

デザインナイフでエポキシ接着剤の上を押していきますとエポキシ接着剤にクラックが入り剥離していきます。

スプール内側にはアルミ箔をエポキシ接着剤で固めているようで、これも剥離させていきます。

ノブが取り付けられている部分がちょうど欠けている部位になっていて、新たにノブを取り付けるためには工夫が必要です。

 

よく観察すると欠けた部分以外にも結構クラックが入っているようです。

依頼者と相談し、欠けた部分を覆うようにプレートをネジ止めで取り付けて、そのプレートにノブを取り付けるようにすることにしました。

 

クラックを全て覆うようなプレートを設計しましたが、プレートが大きすぎるとのことで、最小限のサイズのプレートを取り付けるように設計致しました。

 

プレートを取り付けるネジは、スプールのパフォレーションの間に開けるしかスペースがないので、M2の皿ネジで取り付けるようにします。

 

 

プレートは厚さ1.5mmのジュラルミンにしたいのですが、丁度良いプレートがないので、2.5mmの板をエンドミルで面加工して、プレートを加工しました。

 

プレートを研磨して、欠けたスプールを接着剤でスプールに取り付け、プレートにも接着剤を塗布して、M2の皿ネジで取り付けました。

これで、欠けたパーツはプレートを介してスプールと強固に接着されます。

なお、接着剤は弾性接着剤を使用しています。

エポキシはカチカチに硬化する反面、上述したように外力が加わると簡単に剥離するので、弾性接着剤で外力に対して強い接着剤を選定しております。

 

ノブは鹿角が希望とのことで、プレートにザブトン、メタルコア、ノブ、ネジを作製して取り付けて完成ですプレートサイズは、欠けたパーツやクラックの関係で少し大きくなってしまいましたが、予想通りに完成したと思っております。

 

もう一つのクリッカー部のカシメが取れているものは、カシメ形状に似たネジを加工して、ネジ止めでクリッカーを取り付けるように補修いたしました。

 

壊れてしまって修理先も良くわからず、途方に暮れているフライマンの駆け込み寺のような修理屋さんでありたいと思っております。

この修理も、ブログやSNSで紹介することによって、ハーディー セントジョージのスプール欠け、割れで検索したらこのブログがヒットして、修理の道筋が見えてくることを願っております。

 

修理後のSt.Georgeはどうでしょうか?修理することで更なる愛着がわいて、お気に入りのリールとして末永く愛用していただけると思っております。