少し前の今季2回目に釣りの話です。
2~3週間ごとに釣りに行っていればあまり周辺環境が大きく変わったと感じるのは台風や大雨後などなんですが、2年も行っていなかった支流に行ってみると大きく様変わりしていることに気づかされます。
台風や大雨を何度か繰り返すことにより、木々は倒れ、川はえぐられたり、堆積したりで、2年前見た風景とは異なるところが目につきます。
しかし、こんな環境の変化を繰り返しながら、何十年も何百年も川は流れて、これからも何百年も流れ続けます。
自然の驚異を感じながら竿を出すのですが、この竿を出すまでに結構な時間川通しで歩かないといけません。
車を止めて、崩れた林道を歩き、川沿いを歩き、滝を巻きやっとたどり着くんですが、滝を巻く際に10年前は途中で1度休憩していたのです。
それが今では、3回4回と休憩しないと息が上がってしまいます。
確実に年を取り、確実に体力は低下し、老いをまざまざと感じるんですが、だからと言ってしんどいから行きたくないとはならないのが不思議なもので、体は悲鳴を上げつつも、前へ前へ進みたくなってしまうほどに魅力的な渓流なのです。
気温も上がり背中に汗を感じながら歩きます。
今日は娘の入社式で、少し緊張気味に出かけていきました。
この良き日に、父親の私も釣りに行き、良き日になろうとしているのです。
竿を出すポイントはもう少し上流からなんですが、流れを覗くと流れの中に泳ぐアマゴが見えてしまい、少し早いのですが竿を出そうと思います。
今日のロッドは6'09" #3 6pcsのバンブーロッドです。予備の6pcのグラスロッドもベストの背中に忍ばせています。
清らかな流れでは魚体を見つけるのは容易です。
見つけた魚体の上流50cmほどにフライを打ち込めば、何の疑いもなくフライを
咥えてくれます。
フライ(毛ばり)のお気に入りはフライマンなら誰でもあると思うのですが、ここぞというときに使用するフライは人それぞれで、私も当然のことながらお気に入りのフライがあります。
お気に入りのフライばかりで釣りをしていると言っても過言ではなりません。
良く釣れるフライだけど、すぐに水に濡れてしまって使用できなくなるので、ここぞといったシーン以外では使用しないフライもあると思うのですが、私はそんなフライを常時使うためにはどうしたら良いかを考えていました。
マテリアルのボリューム、水キレ、フロータント等々を考えていました。
1つの答えとして、マテリアルの長さとボリュームに着目しました。
ボリュームをアップさせ、長めに取り付けたマテリアルをハサミで加工します、フック付近はボリュームのある状態にする代わりに短く刈り込みます。
トップ部分はボリュームを最小限に抑えています。
こうすることで、マウスブローやキャスティングにフライは乾燥し、水面に乗っかり、流れていくのです。
何度かキャスト後に浮き方が気に入らなければ、マウスブロー+フライカチーフで水分を飛ばして、フロータント処理すれば完全復活するので、ここ一番のお気に入りのフライで、いつまでも釣ることができます。
この日もサイトフィッシングで簡単に釣れ続けます。
ここぞと思うポイントでイワナもつれて、天気も良くて、気持ちいいです。
少し話は変わって、ロッドの話です。
ロッドのリールを装着するリールシートですが、リールシート長さと言うのは長すぎると不細工なんです。
とにかくバランスが悪く、不細工なんです。
でもリールフット長さはリールメーカーごとにバラツキがあり、どのメーカーのリールもそれなりに装着できるようにしようと考えて設計するとリールシート長さが長くなり、不細工になってしまうのです。
世の中には不細工なロッドが山のようにあります。
ロッドとリールのバランスも大事です。
リールはラインを収納するものなので、スプール径が大きなラージアーバーリールの方がラインの巻き癖が少ないのは判ります。
ラインの巻取り速度が速いのも判ります。
でも、不細工なんです。ただただ、デカいリールは不細工なんです。
小さなリールを短めのリールシートに装着するのがかっこいいのです。
これは、私にとって絶対のなんです。
この絶対を守りつつ、ロッドやリールを加工しているので、ロッドとリールのバランスが良いのです。
このお気に入りのロッドとリールで釣りをして、渓魚を釣り上げる。楽しくないはずがないのです。
この瞬間を感じるためにロッドやリールを作製しているのですから。
ロッドとリールを作製しているということは両方をデザインできるのです。
大きく主張するつもりはないのですが、譲れないデザインは守りつつ、自分の中でのカッコいいを形にしていきます。
今回の釣行では目的地まで進めませんでした。
この先にはもっと楽しい事が待っていいるはずと思いながら、次の釣行を夢見るのです。
ロッド作りもリール作りもこの流れから教えてもらったような気がします。
なので、持って教わるためには、また釣りに行くしかないのです。
決して道楽で釣りに行っているわけではなく、仕事に精進するためなのです。
誰にも理解されないと思いますが、釣りをしない釣具屋ほど魅力のない事はないのですから、これからもこの流れに立てるように、日々の仕事も頑張るのです。
この流れは私を良い大人にしてくれるのです。