ATH(アリハート)リールのTraun F1と言うモデルの巻き方向を左巻きから右巻きへ変更できませんか?
との問い合わせがありました。
アリハートのリールの印象は、斬新の一言に尽きると思います。
デザインの妙とでも言いましょうか先進的であるにもかかわらず、バンブーロッドとの組み合わせでも違和感がなく、私にはないセンスを感じてしまいます。
デザイン的に優れているのとリールの使いやすさは必ずしも一致せず、ティペットを噛み込んだりするだろうなと思う構造でもありますが、素晴らしいデザイナーだと思っています。
残念ながら私はこのアリハートのリールを1台も持っていません。
ATHリールはモデルによって巻き方向を変更できるものとできないものが存在しています。
このモデルは事前確認いただいたところ、変更できそうだと判断してリールを送付していただきました。事前確認と言うのは、分解してユニットの開口部の写真を送付していただき巻き方向変更の可否判断をするもので、分解方法を解説した資料を送付して確認いただく作業を行っていただいたのです。
ATHリールはワンウェイベアリングが収まっているユニットからワンウェイベアリングを抜き取って、ベアリングを180°反転させてユニットに戻せば巻き方向を変更できるのですが、ユニットにベアリングは圧入されているので、専用治具が必要になります。
ではなぜ、モデルによって巻き方向が変更できるモデルと変更できないモデルがあるのかと言いますと、このユニットからワンウェイベアリングを抜き出せる構造と取り出せない構造のものがあるのです。
この写真がワンウェイベアリングが収まっているユニットです。
ユニットは黒で、外周にクリック用のギヤが配置されており、中心穴部分にシルバーのワンウェイベアリングが圧入されて構成になっています。
このモデルはワンウェイベアリングの内径が8mmのものが使用されています。
ワンウェイベアリングの外径は12mm程度と思われ(計測忘れです)
ユニット部はワンウェイベアリングを圧入するためのφ12mmの穴があり、圧入の際のストッパーとなるよう底の部分には9mmの開口穴となっています。
ワンウェイベアリングを抜くにはこの開口穴径が重要なのです。
9mmの開口穴があれば、ベアリングを抜くことが可能ですが、モデルによっては
開口穴が8mm程度しかなく、ベアリングを抜くことが出来ないのです。
抜くことが出来ないというのは少し語弊があります。
そのままでは抜くことが出来ないというのが正解なのかもしれません。
これは非常に簡単なことなのですが、コロンブスの卵のようで、気付かなかったのですが、
このユニットの開口部径を加工して広げてやれば、巻き方向変更不可とされているモデルであっても変更できるのではないかと気が付いたのです。
専用治具で加圧できるようなサイズの穴を旋盤で加工してやればいけると思うのです。
但し、これはまだ実績のない机上の空論なのかもしれませんが、出来ると思っています。
要望があればの話なんですが....。
以前、ATHリールの巻き方向変更依頼があったものの、この簡単なことに気づかずに変更できませんと言う回答をしたことが何件かありましたが、今思うと何とかトライできるかもしれませんと回答するでしょう。
旋盤で開口部を広げて、トライしたものの、変更できませんでしたと言う結果になるかのしれませんが、トライしない事にはできるかどうか確認できませんので、トライしてみたい気持ちが半分と、出来なかったらどうしようと言うネガティブ思考の自分が混在しています。
最悪はこのユニット自体を作り替えてしまえば何とかなると思うので、トライしてみたいと思うこの頃です。
ATH(アリハート)メーカーが無くなったので、修理等も思うようにいかなくなってしまったメーカーの一つですが、奈良の田舎の小さな工房で修理できるかもしれません。
最近は修理が結構増えてきて、本業のリール製作、ロッド製作に影響が出てくる状態なので、余り大々的には修理できますとは言いませんが、このブログを見て頂いたフライマンに届いてくれればいいなと思います。