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St.George "3 Vol.2

4/10に前回修理したHARDY St.George 3”の修理内容をFBに投稿したら、アメリカから同じくSt.George "3の修理依頼が舞い込みました。

依頼者曰く、アメリカで修理先を色々と探したが見つからなかったと、FBを見ると日本で修理しているのを見かけたので......。とのことでした。

 

このSt.George "3は本来ノブが付いていた部分のスプールが割れて、一部が無くなっており、違うところにノブを移設しているものの、ノブが回転しない状態で取り付けられていました。

 

ということで、今回の修理内容は、

1)スプールの分けた部分を補強しつつ、その部分にノブを移設する

2)ノブの作り直し

です。

 

まずはのノブを取り外します。

 

割れてなくなっていいる部分に前回同様、プレートを貼り付けて、そのプレートにノブを取り付けることにします。

無くなっているスプールの一部はそのままでは、リーダーやティペットを巻き込む恐れがあるので、スプール形状を真似たパーツを取り付けることにします。

スプールにはφ6mmとφ3.3mmの穴が19個開けられており、なおかつスプール厚みが1.25mmしかないので、穴をかわした部分にφ1.6mmのドリル穴を開けて、M2.0のタップ加工を行ないました。

プレートは1.5mmとして、スプール形状を真似たパーツを接着して、M2のネジでスプールに固定しました。

 

ノブに関しては、ザブトン、メタルコア、ネジ、ノブの4点を加工して取り付けました。

前回の修理の際にも言いましたが、ノーマルのSt,Georgeのリール形状とは異なります。

異なりますが、壊れた部分を愛情を持って修理したということが一目瞭然なのです。

壊れたので、Retro Rod&Reelのリールを購入しますと言うのであれば問題ないのですが、壊れたからと言って他のリールを購入するのはお勧めしません。

壊れたなら修理の道を探す。

何とか使えるように知恵を絞る。

個のアンティークに分類されるリールは長い間フライマンと一緒に歴史を刻んできたのです。

ここで、引き出しに中に眠らせるのか、それとも何とか修理して新たな歴史をともに刻むのか?

 

モノは大切に使いましょう!!

などと言いながら、大切に車を乗り続けると税制面で不利益を被ったりするおかしな国 日本ですが、

アメリカで修理できないのであれば、日本で、奈良県で兼業農家のような1個人が細々と修理致します。

完全オリジナルではないけれど、と言うか、オリジナルではないからこそ、唯一無二の世界に一つの愛おしいリールになっているようにさえ感じてしまうのは、修理してでも使うと言った持ち主の愛着が感じられるからなのでしょう。

 

つい最近、FB内でリールのパーツが壊れた。リペアできないでしょうか?

との投稿に対して、何人かが、Retro Rod&Reelの上田さんに相談すれば?

とのコメントがなされており、そのフライマンのリールを修理することになりました。

 

ほんの少しづつではありますが、町のフライリールの修理屋さんとして、認知され始めているような感じがしています。

 

このブログに掲載するのも、故障内容で検索を掛けた時にヒットされればと言う思いからです。

修理を終えた後に、私の作製したリールを新たに迎え入れて下さったフライマンもおります。

 

凄い技術を持っているわけではありませんが、何とかしたいという思いは持っております。

 

今頃はアメリカ行きの航空便に乗っているころかもしれません。

リール到着から僅か2~3日で発送を行ないました。

言葉の壁等があるので少しでも不安を与えないようにい頻繁にコミュニケーションをとりつつ、迅速に対応いたしました。