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My Favorite Reel

自分でリールを加工しているから、たくさんのリールを所持しているように思われるかもしれませんが、そうでもないんです。

テスト的に作製したプロトタイプなどは数台持ってはいるのですが、花梨モデル等の高級バージョンは1台も所有していないのです。

 

それでも初めて作製したリールは今でも大切に使用していますし、少し全体的にキズも増えてきたリールに愛着もあります。

 

お気に入りのリールの話の前にリールシートフィラーデザインの話を!

私個人的には無駄に長いリールシートフィラーが嫌いなのです。

リールを固定したリングからチェックまでが長いフィラーを見ると萎えてしまうのです。

ロッドのデザインをする際に、リールを装着したイメージを持ってデザインするなら間延びしたフィラーなど使わないだろうと思うのですが、リールシートは各メーカーにより長さ、厚み等々が異なっているので、どこのメーカーのどんなリールでも装着できるようにデザインするとどうしてもサイズ的には大きなフィラーになってしまうのですが、それが不細工の要因なのです。

 

私が初めてバンブーロッドをデザインした時には、お気に入りのリールを装着して、一番バランスが良いと思うサイズにカットして使用していました。

当然のことながら、中には装着できないリールも存在しましたが、それでもお気に入りのロッドがピッタリと装着できることだけを優先していたのです。

 

自分でリールを作製するようになった時には各メーカーのリールシート形状を計測して、自分のリールのリールシート長さ、形状に参考にしました。

どのロッドにも装着できるような平均的なリールシート形状にしていますが、そのリールを装着して一番フィットするフィラーサイズにデザインするやり方は変わっていません。

 

話はそれてしまいましたが、折角自分でロッドやリールをデザインできる立場にあるので、一番カッコいい組み合わせになるようにデザインしているつもりです。

 

リールの話に戻りますが、まずはオーソドックスなエボナイトを磨き込んだフェイスプレートを使用したかったので、色々と研磨を繰り返し、色んな研磨材を使用して今の状態を作り上げました。

その後、マーブルエボナイト、ジュラルミンの研磨、花梨等に移行しましたが、一番最初のエボナイトの研磨が一番難しいかもしれません。

 

当方のリールの一番人気は以前も書きましたが、ブラスフレームの花梨フェイスプレートモデルです。

 

私の作製しているリールを取り扱っているショップはほんのわずかで、ほとんどは対面販売やWebshopでの販売になります。

直接やり取りして購入していただいた方は、各SNSの写真等で実際に良い釣りをしている写真等を見ることで私自身自己満足するのですが、

ショップ経由で購入されたお客さんについては、直接的な繋がりがないので、たまにSNSをめくっているとカッコいいリールが目に飛び込んで、よくよく観察すると私が作製したリールだったことが何度となくあります。

 

その中で、一番カッコいいと思ったリールが写真のブラスフレームにジュラルミンの研磨されたフェイスプレートの組み合わせたBi-Metalモデルだったのです。

 

ネットに収まった魚体の横にそっと置かれたロッドに装着されたリールはフェイスプレートに水滴が付着し全てがキラキラと輝いていた写真をみて、ページをスライドさせる指が思わず止まってしまったのです。

拡大した写真のカウンターウェイトにRetroの文字を見つけた時は非常にうれしかったことを覚えています。

 

昔、欲しかったレナードミルズのBi-Metalは手に入れることが出来なかったけど、自分の手で作り上げ、自分なりに一番カッコいいと思うように加工してみた1台です。

 

残念ながらこのBi-Metalは自分用を持っていません。

今年はなんとか時間を見つけて自分用のBi-Metalを作ってみようと思ったのでした。

ブラスフレームにジュラルミンのフェイスプレートなので、重量的には150gです。

気になるほど重くはありませんが、7’06”  #3ロッドぐらいのバンブーと併せて頂くとカッコいいと思います。

 

ロッドに合うバンブーロッド、バンブーロッドに合うリール、どちらも作製可能です。

最近年配のフライマンが断捨離されている話をよく耳にするようになりました。

そのフライマンたちは一番お気に入りのロッドとリールの組み合わせに巡り合えたのでしょうか?

巡り合えていたら羨ましい限りです。