ORVIS 8’06” #5 2pscロッドのスネークガイド交換の依頼がありました。
グリーンカラーでラッピングされていたロッドのガイドを外します。
ブラウンの純正色にして欲しいとの依頼があり、A541というスレッドも併せて送って頂きました。
ガイドを外してみたところ、特に摩耗はないように思えましたが、よく観察するとサイド部分に筋状の摩耗が見られました。
多分これはキャスティングの癖により、同じところをラインが擦れるんだと思います。
ガイドを取り外したロッドにはエポキシの残渣があり、これを丁寧にデザインナイフで取り除く作業が結構時間が掛かります。
ラッピング部分を少し研磨しましたが、やはり凹凸があるので光沢が他の部分とは異なります。
同じ部分に新たなガイドを乗せてラッピングするんですが、元々のラッピング幅が結構アバウトなので、同じラッピング幅にしようとすると元々のラッピング幅とは異なってしまい、光沢が異なる部分が露出する場合もあるんですが、そこを気にするようなロッドでもないような気はしております。
フックキーパー部分はガイドとは90°ズレた部分に配置されています、使いやすさはあまり変わらないようにも思うんですが....。
いつもラッピングはシルクスレッドの#150程度の細いスレッドを使用するようにしています。
これは、細いスレッドのラッピングをスタンダードにすることでラッピング技術を向上させることを第1に考えてのことです。
今回のスレッドは#90程度かな?と言う太さだったので#150に比べると格段にラッピングしやすく感じます。
トリムもないので、サクッとラッピング完了です。
ラッピング後はエポキシコーティングです。
1回目はスレッドに染み込むようにエポキシを乗せていきます。
2回目は少し厚みを持たせるようにして、硬化後、スレッドの引き抜き部分等の段差や毛羽によりエポキシが盛り上がった部分をデザインナイフで成形して凹凸を均していきます。
これも案外時間の掛かる作業です。
最後にもう1度エポキシをコーティングして完成です。
エポキシコーティングはメーカーのyoutube等を見ると太い筆を使い、高粘度のエポキシをボテッとコーティングし、ライターで炙って粘度を下げ、気泡を抜いて、1回のコーティングで済ませているようです。
こうすることで1回コーティングで終わるのでリードタイム短縮になります。
しかし、その反動として、エポキシはボテッとしてしまい、スレッドからエポキシは大きくはみ出してしまいます。
時間は掛かりますがエポキシコーティングを何回かに分けることで、薄いコーティングを繰り返すことで、ボテッとした感じではなく、比較的フラットなエポキシコーティングにすることができるのです。
エポキシのはみだしも最低限になるように丁寧にコーティングすることで綺麗なコーティングが出来ます。
更には上述したようにデザインナイフで凹凸部を均すように削る作業をすることによって、凹凸の少ない綺麗なエポキシの表面になるのです。
大きなメーカーの最も苦手とする、時間を掛けて丁寧な作業をすることを小さなメーカーはやっていくことで、ニッチな領域で生きていけるのだと思っています。
すなわち。ロッドメーカー側から見ると、やりたくない嫌な仕事をしている個人メーカーと見えるのでしょう。
FlyFishingは、自己満足で成り立っている趣味なので、どこに満足度を求めるのかによって変わりますが、私個人の意見としては、
お気に入りのロッドとリールを組み合わせて、綺麗なトラウトとの写真を残すことなのです。
勿論、他の持ち物に関しても、自分の眼鏡にかなった逸品で揃えたいと思うのです。
お気に入りに囲まれて釣りをすることで、満足度が増すのだと考えています。
だとすれば、コストパフォーマンスを第1にした利益優先のロッド、リールよりも、コツコツと時間を掛けて、丁寧に仕上げられたロッドとリールに魅力を感じるのはFlymanとしては正しい思考だと思っています。
魅力的なものを作りあげることを最優先とするメーカーでありたいと思います。