
HARDY FleweightはORVIS CFOと同様変わらぬデザインでたくさんのフライマンに愛されているリールです。
今回の修理はリールのフレームのスプールを覆っているリムが一部無くなっているとのことで、実は昨年の11月ぐらいからお預かりしておりました。
なかなか重い腰が上がらなかったのですが、4月までに何とか一区切りつけたかったので修理開始です。
推測ですが、リールをロッドに装着した状態で派手に転倒されたのではないかと思われます。
リムの破損時にスプールにも力が加わり、センターシャフトにも力が加わったようです。
リールを旋盤の主軸に取り付けて回転させると、センターシャフトの振れがあるのです。
シャフト基準で取り付けたほうが良いので、芯押し台のドリルチャックにセンターシャフトを固定してから主軸に取り付けてチャックして振れがない状態で取り付けました。
ここから人様のリールをぶん回して切削加工でリム部分を除去していくのですが、何回やっても慣れてこない緊張する作業なのです。
加工内容は大したことないのですが、取り返しのつかない作業が緊張感を増幅させてしまうのです。

リム部分を除去し、リムと同形状のリングを加工していきます。
φ60mm厚さ5mmのジュラルミン板材を加工してリング状に加工します。
この加工に関してもリングの厚みが2.5mmと薄く、R面取りなども必要なため、どの部分をどうチャックして加工していくのか?結構悩みながら作業していきます。
加工、研磨が終われば、除去加工したフレームのピラー部分に位置決めピン用のドリル穴加工をしていきます。
リールフット部分は2箇所で合計5か所にφ1mmのドリル穴加工をします。
各ドリル穴加工の位置座標を記録しておきます。
次に加工したリングにもドリル穴加工をしていきますが、穴同士が合わさる構造なので、加工位置座標を間違わないようにする必要があります。
穴部分にφ1mmのピンを入れて接着することで位置ズレなく、接着できるのです。

接着前に仮組してスプールを取り付けると、スプールの一部が干渉しています。
やはり、破損時の衝撃でフレームとスプールが歪んでいるようです。
リングの内径をほんの少し追加工して、干渉がない事を確認して接着しました。
FlyweightがMarquisみたいな雰囲気になりましたが、完全復活いたしました。
オーナー様曰くリム破損後20数年ほったらかしだったFlyweightだったそうで、今回無事に復活して喜んでいただけました。
修理はお金がかかります。
修理代金で中古のリールが買えることもあります。
でも、このリールでなければならないこともあるのです。
思い出を刻んできた相棒のリールでなければならないことがあるのです。
思い入れがないのであれば、中古のリールを買いましょう!
色んな思い入れがあって、このリールでなければダメなオーナー様はご相談ください。
出来る限り力になれるよう頑張りますので!!