
ヨーロッパのHARDY アメリカのPFLUEGERどちらも根強い人気がありますが、
PFLUEGERのMEDALISTはいかにも大量生産品と言うイメージがあります。
安価に大量生産するのが、その時代の流れだったのでしょう。
フライリールの修理依頼が来るようになってから自分でも1台所有して色々といじってみようと購入したのがMADALIST 1492AKでした。
スカルプチャードピラーを作製したり、リールフットを加工してみたり、ノブを交換したり、ラッチカバーを作ってみたり、左巻き用にラインガードを移設できるような穴加工をしてみたりと、あれこれいじってみておりました。
月日は流れ、片隅に追いやられていたリールは、ある日リールを手に取りノブを回してみた瞬間にある違和感に気が付いたのです。
「ノブを回してもクリック音がしない。」
スプールを取り外してみると、クリッカーが欠けていたのです。
渓流で使用することもないリールだったので、またそのまま深い眠りにつくリールでした。

それからも色んなリールの修理を経て、自分なりに修理のスキルが身についてきたと思ったので久しぶりにこのMEDALISTをいじっている訳なのです。
MEDALISTのクリッカーはリール本体にカシメられています。
(圧入されていると言った方が正解なのかもしれませんがここではカシメと表現いたします)
このカシメられたクリッカーなので修理は出来ないのですが、このカシメのオス側を強引に抜き取りました。
するとメス側が本体に残って状態になるのです。
このメス側には約2.1mmのカシメ穴が残っています。
この穴を利用してメネジ加工をしようと考えM2.6のタップ加工を行ないました。
M2.6のタップの下穴のドリル径はφ2.1mmなのでこのカシメ穴にそのままタッピング可能なのです。
クリッカーは割れていなかった方のクリッカーを採寸して板厚2.5mmの洋白で加工を行ないました。(快削洋白ではなく、洋白です)
クリッカーとメネジの深さなどを鑑みてオネジを加工していきます。
ダイスねネジを切ってスリワリ加工してマイナスネジを作製します。

裏面から見た状態ですが、カシメのメス側にネジを切ってネジ止めしてるとは判らないようなフィット具合で、何ら違和感がありません。
このようにすることでクリッカーが摩耗したとしてもワンタッチで交換できるような構造にできました。
HARDYにしてもクリッカーを固定しているパーツはカシメられています。
このカシメがいかれてしまうトラブルもあります。
オリジナルの状態で使用したいと望まれる方も多いと思います。
しかしながら折角大幅修理を行うのであればよりメンテしやすい状態にするのもありなのかもしれません。オリジナルの雰囲気を壊さないようにするのは大前提として...。