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Yomogi 4'10" #2 4pcs

以前にYomogi Rodを紹介した際に、その投稿を見て欲しいという方が居まして、新たにIjuinさんからブランクを入手して、カットして、4ピース化にして組み上げるということをやりました。

 

依頼者の方よりスレッドカラーはライトグリーンで、トリムカラーに悩んでいると相談を受け、何種類かトリムカラーを変えてテストラッピングを行ないました。

 

トリムカラーを目立たせたいのであれば補色カラーの赤系にすると良いのですが、全体のバランスでは濃いグリーンが良い感じです。

依頼者の方もグリーンを指定されました。

写真はラッピング直後と、エポキシコーティング後をイメージして水で濡らした状態との写真を撮影しております。

 

Retro Rod&Reelでは、ご依頼があればスレッドカラーのっテストラッピングを実施してお好みのカラーを見つけるお手伝いもさせて頂きます。

 

4pcs化については以前に紹介したので今回は割愛します。

今回スレッドカラーに指定頂きましたライトグリーンはOlinpianのPuresilkでイングランド製です。

このシルクは色合いは良いのですが、スレッドの毛羽立ちが多く、少し厄介なのです。

カバ立ちがあるとエポキシをコーティングした際にケバの部分でエポキシ表面がガタガタになるのです。

日本製のシルクはそんなに毛羽立ちがないので使いやすいのですが、このシルクはそうはいきません。

 

ラッピング後にシルクスレッド表面を軽くアルコールランプで炙って毛羽を焼き切るのですが、余り長く炎に晒すと焦げたり、煤が付いたりするので、軽に炙るのですが、今回はそれでは完全に毛羽立ちを解消することが出来ませんでした。

ちなみに上の写真は炎に晒す際にコルクが炎に触れるとすぐに焦げるのでマスキングして対応しています。

 

また、上のお写真は2回目のエポキシコーティングが硬化し、毛羽によるエポキシのガタガタ部分をデザインナイフで整えた状態の写真です。

 

このようにすべてのコーティング部分を確認して滑らかな表面になるようにデザインナイフで表面の細かな凹凸が無くなるように削っていくのです。

 

大変な作業なのですが、これを行なうと行わないとでは仕上がりが大きく変わってくるのです。

写真下は3回目のコーティング後の写真です拡大が大きく、また写真の腕がないので、あまり綺麗の撮影できておりませんが、綺麗な表面になっています。

 

ロッドビルディングは効率を重視する工程もあれば、効率度外視する工程もあり、すべてにおいて効率優先、時間優先でやってしまうと綺麗な仕上がりにはなりません。

時には、じっくり時間を掛けて手を動かすような工程も必要なのです。

そのひと手間を惜しんでしまうといつまでたっても綺麗に仕上げることが出来ないのですが、そこを重要視しない方が多いように思います。

 

大手メーカーは効率最重要なので、エポキシ塗布に関しても粘度の高い状態でエポキシをコーティングして、表面を加熱して粘度を下げて均一にコーティングするようなやり方を採用しています。

この場合は1回のコーティングで完了してしまいます。

私の場合は3回のコーティング

完全に硬化してから表面の凹凸をデザインナイフで除去するので1日1回のコーティングになるので、3日掛かります。

 

ではなぜ大手メーカーのような1回のコーティングにしないのか?

1回のコーティングで厚くコーティングすれば、毛羽立ちがあってもそれらを完全に覆うほどのエポキシをコーティングを施せば、毛羽立ちはしないのです。

 

一見メリットだらけのように思える大手メーカーのやり方ですが、この方法では、1回のエポキシ塗布量が多いがための影響があるんです。

それは粘度の高い状態のエポキシは溶剤成分が比較的少なく、そのエポキシをスレッドに多めに塗布して、加熱して一時的に低粘度化して表面を均して硬化させるやり方では、加熱により低粘度化したエポキシはっ表面張力によりコーティングした幅の中央部が膨らむのです。

これは硬化後のコーティング表面を見れば明らかなのですが中央部分が盛り上がったボテッとしたコーティングになってしまうのです。

 

また、加熱により低粘度化したエポキシはスレッドから大きくはみ出してしまいます。

 

私のやり方は、エポキシを薄め液で薄め、揮発成分が多い状態でコーティングを行ないます。

1回目はシルクスレッド表面にエポキシを染み込ます程度にします。

2回目はシルクスレッド幅ギリギリまでコーティングして硬化させます。

粘度が低いため、表面張力は働きにくく、均一にコーティングすることができます。

2回目のコーティングが硬化したら上記のようにコーティングの凹凸をデザインナイフで均して3回目のコーティングを行ないます。

これもシルクスレッド幅ギリギリまでコーティングして硬化させます。

 

こうすることで薄いコーティングを繰り返して、平らな表面のコーティング膜を形成させるのです。

 

効率重視で1回のコーティングでボテッとしたエポキシコーティングを好みますか?

それとも時間を掛けてスレッド幅ギリギリまで均一にコーティングしたエポキシコーティングを好みますか?

私は大手メーカーのやりたがらない良いものを時間を掛けて!と言うやり方こそが大手メーカーとの差別化であると考えています。

私が大手メーカーのやり方をしたら何の魅力もない弱小メーカーで終わってしまうのですから。

 

これはロッド作りだけではなく、リール作りにも共通したことだと思っています。

大手メーカーーのやりたがらないことをやり続けて、差別化してコツコツやることで生まれた製品のレベルの違いを見せつけてやりたいのです。

 

そもそも大手メーカーは1個人に対してスレッドカラーを決定するためにテストラッピングなんてやってくれません。

お客さんはメーカーが作ったものの中にしか選択肢がないのです。

 

弱小メーカーはお客さんが本当の求めているものを一緒になって探して唯一無二のモノを作るのです。