
Ted Godfreyのリール修理が来ました。
こういうのはよくあるのですが、同じメーカーの修理が続く現象です。
Tedさんのリールは、マルチプライヤーだったり、ワンタッチで分解できる構造だったりと色んなギミック満載で素晴らしい技術者だと尊敬しています。
さて、今回の依頼はClassic Troutリールで、クリッカーが割れてしまってクリックが機能しないとのことでした。
依頼者の方は丁寧に分解方法等を写真を交えた書面で説明していただいており、非常に助かりました。
クリッカーを作ることだけに関してはそんなに難しくはないんです。
でも、今回は少し難度が高いのです。
何故ならクリッカーが割れてしまっているので、詳細な採寸が難しいのです。
ほとんどのリールはサイドプレートにクリックシステムが搭載され、ギヤはスプール側に形成されているので、クリッカーとギアとの位置関係を確認するのが困難なのです。
困難であっても、元のクリッカーのコピーを加工するのはそんなに難しくないのですが、割れているので最悪は、1度加工して位置確認をして修正して再度加工するというやり方なのですが、加工時間が2倍になると費用面での負担が大きくなるので何度も計測できる部分は計測し、少し大き目に作製して後で削ることで対応しようと考えました。

このクリッカーはギアと接する部分は肉厚が厚く、それ以外の部分は t=1.41mmになっています。
最初に除去加工を行ない厚さ1.41mmにしてからクリッカー形状に輪郭加工していきます。
結構小さなパーツなのでタブを設けて材料が飛んでいかないようにします。
タブとはプラモデルのパーツとフレームとを繋いでいる細い部分のようなもので、輪郭加工時に一部を加工せずに残すことで板材からクリッカーが外れて飛んでいくことを防止する加工方法です。
加工直後の写真なので、この後糸面取りして、洗浄して組付けです。
組付け後、少しクリッカーの動きが渋く、t=1.41mmを少し削って微調整しました。
クリッカー先端とギヤとの位置関係は1発OKでした。 よかった!

ギヤを組み込んで、グリスアップしてから組み立てます。
私はレイズドピラータイプのリールが好みなんですが、Tedさんのリールは雰囲気があり、サイズも丁度良く欲しいリールの一つです。
自分用にバーミンガムタイプのリールを作ってみたいと思うこともあるので、少し時間を作ってトライしてみたいと思います。