· 

土に返る

釣りのために山奥深くに入り込むと、普段見かけない風景に出会います。

そのたびに写真に残すんですが、心に残る風景と言うのは年老いても昔と変わらず、同じ感性を引きずっているように感じることが多いです。

 

昔の写真を見返すと、同じ場所で同じように写真に残していることもたくさんあり、最近では、必ずこの場所で写真を撮るという儀式めいた行動になっているような気もしています。

 

とは言っても、完全に同じ場所からの撮影ではなく、被写体が同じと言うことで過去の写真を見返しているとある変化に気が付いたのです。

 

この写真は2016年の3月末に撮影しています。周りの木々がまだ芽吹いてない感じからも春を待つ枯れ木と言った感じでしょうか?

この木は切断されたのか、この場所で折れてしまったのかは定かではありませんが、この大きさからすると何百年も生きてきた大木で、風格を感じて写真に残したのだと思います。

 

これは2019年5月初旬で、若葉が芽吹き始めて明るい雰囲気の写真です。

切株にコケが生えて、全体を覆いつくす途中のように見えます。

流れから数mの位置にあり、切株の下の石や空洞は大雨による濁流に洗われたためか

自然の色んな姿を想像してしまいます。

 

思い返せば2016年の3月は、Retro Rod&Reelを立ち上げようと、CADやNCの勉強のため職業訓練校に通っていた時期です。

1月からの受講で6月までの半年間結構真面目に学んだのです。

 

2019年は、令和元年でありコロナ前で色んな加工にチャレンジしていた頃です。

まだまだ一人前には程遠い状況で、色んな事にトライして色んな事を吸収している真っ最中と言った頃でしょう。

 

時間の流れと共にカメラも変わり写真の雰囲気も大きく変わっています。

それよりも大きく割れてしまった切株に時間の流れを感じずにはいられませんでした。

長い年月を経て朽ち果て、やがて土へと返る。

これは木でも人間でも同じ事。

 

でも朽ちて土に返るまでのほんのわずかな時間の中で何をするのかが重要です。

私は50歳で会社を辞め、Retro Rod&Reelと言う自分のやりたい世界へ飛び込みました。

業界内で誰からも知られていない存在からのスタートでした。

今でも安定している状態とは言えないような綱渡り的な生活ですが、会社員の頃のような鎖につながれて生きてきたような状態ではなく、自分の夢の方向へ、自分の好きなもののために時間を使う生活は、金銭面を除けばすこぶる快適で、やりたいことのためには苦痛をあまり感じないような気がしています。

 

今60歳を過ぎ、会社員であれば定年を経験した年なのですが、今から10年前と同じ情熱をもって動けるかと言われれば、Yesとは答えにくいような気がします。

体力的には、若いころのようなパワーが無くなっていることを実感するのです。

 

この写真の場所までたどり着くのに大きな滝を巻くんですが、40代のころは途中で1度休憩を挟んでいたのが、50台になると、3回4回と休憩回数が増えどんどんと足が重く、息が切れてしまうのです。

 

私が土に返るときには大きく人生の舵を切った行動を誇れるようにいつまでも色んな事にチャレンジして、モノづくりを楽しもうと思っています。

楽しんでいる人が作るもモノはきっといいものだと思っているのです。

 

PS.もうすぐ限定品のリールが完成します。

総数8台のため、大きくはコマーシャル致しませんが、このblogで一番に紹介するつもりです。