
Ted Godfreyのマルチプライヤーリールの修理依頼がありました。
サイドプレートがボロボロになってきているそうです。
以前も同様の修理を行なったことがあったのですが、その際はハンドル側のプレートのみの修理だったので、問題なかったのですが、今回は両面共に修理依頼がありましたので、大変そうな予感が...。
Tedさんのリールはマルチプライヤー構造も然り、ドラグ調整機構も然り、どれも機能的で素晴らしい構造なのですが、分解しようとするとパーツ数が多く大変なのです。
ハンドル側にはマルチプライヤーのギア固定用の丸穴があるだけなので、あまり問題ないのですが、ドラグ側のサイドプレートは穴数も多くこの穴位置を予めすべて計測して加工していくのは大変なのです穴の開いたプレートのセンターと他の穴のセンターを計測しようとしても1/10mm程度の誤差はどうしても出てしまいます。
もう一つ問題なのはこのウッド調のプレーとは、なんちゃってウッドプレートで実際は樹脂製のプレートで厚みが0.6~0.7mm程度の薄いプレートなのです。
実際のウッドで加工すると反りまくって使い物になりません。
ですから0.5mm厚のニッケルシルバープレートを切り出して、ウッド調のカッティングシートを貼り付けることで対応しました。

ドラグ側のサイドプレートはドラムブレーキやラッチ構造、ドラグ調整ダイヤル等々が組み込まれ、サイドプレートにもたくさんの穴が開いています。
これらの穴位置を高精度に計測することは難しいので切り出したプレートを重ねて、穴位置にマーキングして、そのマーク中心にポンチを打って穴加工することにしました。
それにしてもコルクを貼り付けた半円状のブレーキシューやラチェット構造などはメカ技術者らしい構成で、真似しようにも結構大変な構造であり、Tedさんの技術力を見せつけられた感じがします。
穴あけ加工したプレートにカッティングシートを貼り付けて穴位置をくり抜いて、すべてのパーツを元の状態に組み上げていきます。

プレート厚さが0.5mmでシート厚が0.1mmで元のサイドプレートと同等の厚さを確保いたしました。
ウッド調のカッティングシートであり本物のウッドではありませんが、元々のプレーともウッド調のなんちゃってプレートなので違和感はありません。
シートが剥がれたら、張り直し可能なので気にせずガンガン使用できると思います。
Tedさんのリールを所有されて、同様の症状にあ悩みのフライマンが居ましたら声を掛けて頂ければと思います。
それでは、暑い日が続きますが、お盆の良い時間をお過ごしください。
P.S お盆の間に川に行くと河童にひきづり込まれると小さいころから言われておりましたので、大人しくしておくことにいたします。