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HARDY Flyweight

つい最近Featherweightのリム修理を行なったと思ったんですが、今回もリム修理の依頼がありました。

ノブも紛失したそうで、ノブとリムの作り直しです。

過去にFeatherweightのリムを加工したことがあり、その時の加工データが残っていたので加工自体は難しくはないのですが、φ70mm t=6mmほどのプレートから加工しようとすると90%ぐらいは切削屑となってしまうような加工なので地味に時間ばかりかかってしまうのです。

 

かと言って予めリム加工用にパーツ準備するような時間的余裕もありませんので、兎に角地味に加工に向き合うしかないのです。

 

自分でアルマイト加工などが出来れば役に立つのかもしれませんが、色合わせ等が出来るほどにスキルを身につけるには結構な時間と設備投資と作業環境が必要となるので1部屋で作業している今の状況では無理なのです。

HARDYリールはフレームの裏面側にリベットがたくさんあるので、旋盤でのチャックの際にリベットを避けながらチャックします。

 

クランプ状態を何度か確認してゆっくりと回転させていきます。

回転中にリールが飛んでいくと今以上の骨折になりかねないので何度も確認が必要です。

 

バイトの切り込み量も0.15mm程度に抑えてゆっくりと切り込んでいきます。

この加工をするたびに何度も書いていますが、人様のリールを旋盤に固定してブン回し、切削加工するのは緊張の連続で、嫌な汗が出る感じなのです。

これに慣れてしまうしまうと、リールを吹っ飛ばしたりするようなアクシデントが起きそうな気がします。

 

このリールは旋盤に固定して回転させると少しセンターシャフトが振れている感じがします。リムを骨折するような大きな衝撃の際にシャフトにも力が加わり、少し直角度がおかしくなっているのかもしれません。

幸い、スプールの回転がフレームに接触する程ではないため、このまま作業をすすめ、骨折部分を取り除く加工は完了しました。

 

後は加工したリングを接着すれば完成なのですが、リムの位置決めの為にリール本体側のピラー部分とリングの両方に位置決め穴加工を行ないます。

 

旋盤の三つ爪チャックをフライス盤に載せ、旋盤の加工のようにリールをチャックします。

次にセンターシャフトが回転中心なのでセンターシャフトをフライス盤にφ6mm用のコレットを取り付けて、センターシャフトをコレットに取り付けるとフライス盤の回転中心とリールのセンターが一致します。

この状態で三つ爪チャックをクランプして、加工していきます。

リングは三つ爪チャックに取り付ければ必然とセンターが一致します。

 

このようにして同一位置に位置決めピン用のドリル穴加工を行ない、ピンを立てて位置決めして接着して完了なのです。

 

ノブの方もサクッと加工するのですが、HARDYやORVISのリールのようにザブトンがあると、案外ザブトンの加工は難しいのです、なんせ厚みが2mm程度しかありませんし、チャックしたい部分はR形状なのでチャック出来ないのです。

この加工を行なうのも最初は色々と考えさせられました。

 

切削加工において一番重要なことは、切削抵抗<ワークのクランプ力

これさえ満足すれば加工可能だということなのです。

がっちりとクランプ出来れば一番ですが、加工できる範囲で固定できていれば何とか加工は出来てしまうので、そこを試行錯誤すれば色んな形状の加工が出来ると思っています。