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HARDY Featherweight

HARDY Featherweight 2台のの修理依頼です。

2台共にスプールの変形によるフレームとの干渉とラインガードのお紛失とのこと。

 

スプールを確認すると2台ともにハンドルのスプールが凹んでいます。

想像するに転倒又はリールの落下等によりハンドル部分を強打しスプールが凹んだものと推測します。

ハンドルノブのキズがその衝撃により一部欠けたのではないかと考えています。

ラインガードの紛失に関して、フレームを確認するとラインガードを固定しているピラーにクラックが入っていました。

両方のリール共にラインガードのネジ穴にクラックが入り込んで、メネジ側の締結力が弱くなり、ラインガードが落下したものと推測しました。

 

ラインガードのネジはUNC-No2 3-16だと思います。

干渉部分を旋盤で削ることを想定していましたが、ちょっと思いついた方法でスプールを矯正してみたら案外と変形させることができ、これにより干渉も解消することが出来ました。

 

ラインガードに関しては、形状はイメージできるのですが、加工しようと思ったことが無く、フレームの各部を採寸しながら図面を引いていたんですが、2台のリールのピラー幅が0.1mm以上異なっているんです。

年代などが異なると寸法が違うこともあるのかもしれませんが、設計するのに苦労します。

 

ラインガードなので摩耗しやすい材料ではよろしくないので洋白(快削洋白ではありません)で加工することにしました。

ガードの形状はバッファローの角みたいな形状をしておりネジ固定する部分の厚みを0.6mmぐらいにしてそれ以外は輪郭加工で加工できそうだと言うことが判り、3D図面化して加工プログラムを作成しました。

採寸、設計、3D化、加工プログラム作成を経て加工開始です。

もの自体は細くて小さいので、TABを形成するようにしました。

TABとはプラモデルの部品がフレームに固定させている細い部分のようなもので、輪郭加工している途中に一部加工しない部分を設けて加工パーツが加工中に飛んでいかないようにする加工方法です。

 

このような加工を経てパートが出来ました。

この後フライラインが接触する部分を研磨して摩擦抵抗を小さくするようにしていきます。

ラインガードを装着するときにクラックの入った部分にメタル用の接着剤を塗布してクランプしてネジ固定しました。

見た感じは純正のラインガードのように見えます。

実際は取り付ける際にはラインガードがリールの外径Rに沿うように取り付けたいのでネジ取り付け部の厚みが0.6mmの部分を変形させフレームに沿うように変形させています。

 

後は、2つあるクリッカーがどちらも機能するような取り付け方になっていたので、一般的な1つ機能するように変更しています。

 

と言うことで、要望事項をすべて満足できるような状態にすることが出来ました。