今年に入ってから注文いただいたリールの加工を行ないました。
モデルとしては珍しいBuddy Brass Eboniteで、イギリスからの注文です。
ご存じのようにアメリカに関してはトランプ関税の影響で日本郵便のEMS発送ができません。それに代わるUGXというものがありますが、手続きがめんどくさく、また不慣れなこともありサクサクとは発送できないし、料金もEMSよりも高くてなんだかなあって感じなのですが、イギリスの場合特定の地域を除きEMSでの発送ができるので気分的には楽です。
さて、Brassフレームの加工を行なっていきます。まずは6.8mmになるように厚み調整したφ75mmの板を旋盤に固定してサイドプレートを取り付ける部分の加工(リールの内側)加工を行ないます。
まずφ15mmのドリルで中心穴加工したのちに中ぐりバイトでプログラム加工していきます。
真鍮の場合はキリコが分断されて飛び散るので主軸にキリコが巻き付いたりといった面倒なことがないので、プログラム加工の間はコーヒーを飲んだり、ネットサーフィンができます。
加工が終わると、主軸からフレームを外し、別のフレームを取り付けて同様に加工をするので、比較的楽な時間を過ごせます。
内側の加工が終了すると、加工した部分を主軸にチャックしてフレームの外側を加工していきます。
これも主軸に固定した後はプログラム加工していくので何もすることなく加工は粛々と進んでいきます。
このフレーム加工が終わると、フレームを旋盤の取り付けた状態で切削面を研磨していきます。
#400,#800,白棒、青棒と研磨をすすめて切削痕がなくなるまで研磨していきます。
次に、このフレームをフライス盤に固定して、レーズドピラー形状に輪郭加工を行ないます。
この加工もフレームをセッティングするのに多少時間がかかりますが、セット後はプログラム加工なので時間が来れば終わっています。
レイズドピラー形状に切り出されたフレームは、この輪郭加工された部分は切削痕がありますので、この部分を研磨していきますが、これは円筒状の形状ではないので旋盤に取り付けて研磨できません。
ひたすらアナログ的に研磨していきます。リューターなどを駆使して研磨していきます。
バーミンガムタープのリールは円筒形状なのですべて旋盤に取り付けた状態で研磨加工できますが、レイズドピラー形状は輪郭加工と、加工後の研磨が余計に増えるのと、その研磨が旋盤に取り付けて研磨できないために時間がかかってしまうことから、1個のリールを加工する場合でも1日以上の手間が余計にかかってくるのです。
1日分以上の手間がかかるので、価格的にも2.5万円ぐらい高額になってしまうのは仕方がなく、それだけ加工がめんどくさい形状だということをご理解いただきたいと思います。
私の加工するリールの場合それ以外のパーツに関しても研磨を加えている関係上トータルで他のリールよりも数日余計に時間を掛けていますので、その時間分が価格に反映されているのだとお考え下さい。
逆に言えば、研磨は最低限で良いというのであればもっと安価で提供できると思います。
そんな需要があればの話ですが、いずれにせよ全て自分の手で加工しているので、どのようなオーダーにも対応できるのです。
今回は久しぶりに真鍮フレームにエボナイトのオーソドックスな組み合わせだったのですが、落ち着いた大人の雰囲気のあるリールに仕上がったと思います。
皆さんはこのリールは右巻き、左巻き、どちらに見えますか?
実はこのリールは左巻きなのですが、どうも感覚が日本とイギリスとでは異なっているみたいなのです。
昔、ミニというイギリスの小さな車に乗っていましたが、右側の窓を閉める際に手動の場合日本では時計回りに回転させますが、イギリスでは反時計回りだったりします。
その辺の感覚の違いも感じつつ、イギリスに向けて発送いたしました。
私のリールは#3程度の小さなリールですが、もしこのリールを気に入っていただけるのであれば、可能な限り世界中に発送できるようにしておりますので、何なりとご相談ください。
